Morphosis - Dismantle

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  • レバノンのノイズメイカーMorphosisは非主流的なダンスフロアーを好み、自由なノイズとトラディショナルなテクノの隙間にあるクロスセクションを操作する。この「Dismantle」はフランス/ドイツ合作の古典ホラー映画『Dreyer's Vampyr』に彼がライブ即興でスコアをつけた作品である。サイケデリックな分解、婉曲的なノイズ、リズミックな変化によって定義付けられた常軌を逸した実験を投影した衝撃的なEPだ。 Donato Dozzyとのコラボレーションとなる"Dismantle"の中心で脈動しているのは捉え難くもメカニカルな感覚で、喘ぐようなそのグルーヴはラグタイム・ピアノで繋ぎ止められている。このトラックはマシーンがウォームアップとシャットダウンの間で不確実な何かを生み出すMorphosisらしいトラック制作技法がよく表れている。"Tamrat Version"では空洞化されたキックが加工されたエレメンツとともに浮遊し、すすり泣くようなオルガンと渦を巻くフィードバック・ノイズがLou Reedの『Metal Machine Music』を彷彿とさせる。 一連のスイートを成す"Music For Vampyr"はこのEPの中核を成している。ここには調和の瞬間と捉え難い感覚の双方を作り出すMorphosis自身の即興への傾倒が提示されている。"Arrival"、"Shadows"、"Finale"の3曲は曖昧なアルペジオにばかり気を遣ってばかりいるとするりと滑り落ちていきそうだが、その緻密に配置されたブリープやドローン、奇妙な断片の満ち引きに注意を配っていくとそこにはパーカッシブな背景が浮かび上がってくる。"Arrival"はその15分のレングスの途中、オルガンのブレイクの前の段階で圧縮された吸引力によって呑み込まれそうになるが、"Shadows"での明滅するキックと映像的なドローンはトラック自体を穏やかな水の流れから灼熱のマグマへと導く。"Finale"ではEP中もっとも明確なアルペジオにピアノが載り、それまで彷徨っていたジャジーな迷宮に比べると意外なほどはっきりとした爆発的で妥協のないエンディングを迎える。3トラックすべてがありのままの姿ではあるが、その一種のワイルドな不確実性はこの「Dismantle」をMorphosisのキャリアベストの作品のひとつたらしめている。
  • Tracklist
      A Dismantle feat. Donato Dozzy B Tamrat Version C Arrival D1 Shadow D2 Finale