Vester Koza - Out Of The Blue

  • Share
  • RAのSteve Kerrが今年始めにリリースされたVester KozaのデビューEPに対するレビューの中で示唆したとおり、このロンドン出身のアーティストの音楽には実際のサウンド以上の饒舌さがあるように思える。「たしかにどこか説得力はあると思うけど、なぜそういうものになるのか自分では理由を特定できないんだ」と彼は語る。彼自身のレーベル、Masloから届けられたこの2作目には3つの長尺トラックが収められているが、少なくとも物語的な展開という意味ではほとんどなにも変化は起こらない。変化はむしろ(時間軸というよりも)垂直方向で起こっており、微細な個々のモチーフがやがてトラック全体を支配し、再び引き潮のように消えていく。 "Out Of The Blue"では、細かなシンセが泡となり、アメーバのコロニーのように泥の中で分裂したりよろよろと動き回っている。表面を覆う軋みとひび割れは砂時計の中を流れる砂のようにさらさらと落ちていく。ほとんど変化らしい変化はないが、この10分間のトラックは心臓の鼓動のように過ぎ去っていく。"Beauty"では数えるほどのエレメントのみですばらしいインパクトを生み出している。ダビーな渦は上方に向かっていき、スローダウンされたビーツはひび割れたようなサウンドやクラップ、ブリープに覆われている。この音楽は必ずしも即効性のあるインパクトは伴っていないかもしれないが、しっかりと向き合って集中したリスニングを要求する。その濁った表面を破り、その内部に深く沈み込むようにして聴くべきだ。その点を踏まえると、これらのトラックの長尺なレングスも至極納得がいくものだし、そのことでテクスチャーがゆったりと推移するための空間が生まれていることがわかる。
  • Tracklist
      A Out Of The Blue B1 Beauty B2 Far Away Dub