Archie Pelago - Sly Gazabo EP

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  • エレクトロニクスと生楽器のせめぎ合いはそのパーツの総体として以上のものを提示し得ないのが常だが、しかしArchie Pelagoに関して言えば例外だ。繊細なストリングスやホーンのフレーズを隠れたビーツの隙間に縫い合わせ、ダビー・ハウスやジャズ、バロックのハイブリッドとして提示されるそのトラック群はまるでFour TetがPlastic Peopleで室内楽カルテットを指揮しているかのようだ。 Archie Pelagoは最初の5枚のEPでイノベーティブなサウンドを提示したが、彼ら自身のセルフ・レーベル最初の作品となるこのEPはさらに目覚ましい進化が刻まれており、このEPを耳にした後では初期の作品群はほとんどスケッチ段階のように聴こえてしまうほどだ。Aサイドの"Avocado Roller"では小気味よいキックにベースが調和し、サックスが震えてBecca Stevensのヴォイスは遥か遠くでこだまする。"In The Room"はフロアでは難なく機能するグルーヴを持ち合わせているとはいえ、EP全体で見るとウィークポイントと言わざるを得ない。EPを締めくくる"Nancy’s Library"はグルーヴィな疑似ダブステップ的なトラックで、跳ねたリズムの上でホワイト・ノイズが波を成してビブラートしている。 これらは確かに優れたトラックだが、タイトルトラックの"Sly Gazabo"を聴いてしまった後ではどこか物足りない気分にさえさせてしまう。"Sly Gazabo"は明確なセクションを繋ぎあわせた15分のシンフォニーのようなトラックだ。黙示録的なチェロの下にはジュークを這わせ、Verdiのような木管の下にはゲットーテックのごとき808グルーヴを這わせ、シンセはひび割れたリヴァーブのなかで渦巻いている。至る所にサプライズが潜み、すべてのエレメントが一体となって結合し、すべての展開がそれと気付かれないまま進行していく。生楽器とダンス・ミュージックがこれほど明確な形で見事に共存した作品はまさしく稀有だろう。
  • Tracklist
      A1 Avocado Roller ft. Becca Stevens A2 In The Room B1 Sly Gazabo B2 Nancy's Library ft. 5150 Sound