Katsunori Sawa - The Two Legs

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  • ほぼ匿名の、ハンドスタンプ・ホワイトレーベルのために作られたであろう音楽というものが存在するが、Weevil Neighbourhoodというレーベルはこうした音楽ならではの匿名性を巧く利用している。これが3枚目のリリースとなるこのレーベルは、どの作品も作家性を排除することで作品そのもののアグレッシブさを引き出している。2010年にこのレーベルはベース・ミュージックに特化したWeevil Seriesというオフシュートを展開していたが、そこから派生した本作はSteven Porterの片割れであるKatsunori Sawaの手によるもので、Steven Porterは2011年にもWeevilから沼地のようなビーツを収めたEPをリリースしている。Katsunori SawaのソロによるこのEPはノイズとその減衰を強調したものとなっている。 彼の創るテクノはダークなエナジーに満たされており、そのダークさはまるで小節が進むごとに深まっていくかのようだ。虚無の空間に硬質なノイズを被せ、パーカッションは荒れた地平をぎくしゃくと進んでいく。"Augur"で鳴り響く金切り声のようなサウンドや"Black Sugar"での死の弔鐘のような不穏なサウンドなど、そのエフェクトはしばしば恐怖感を帯びている。そんな中、"Phenomenon"はかろうじてコンベンショナルなテクノに近いとは言うものの、突進しながらもよろめいて足を引きずるような感覚だ。こうしたメタリックな展開が続き、"NGM"では徐々に腐食していくかのようなホワイト・ノイズの明滅が強調されて束の間の着地を装っているようだ。
  • Tracklist
      A1 Augurs A2 Black Sugar B1 Phenomenon B2 NGM
RA