Kode9 - Xingfu Lu / Kan

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  • 間もなく公開されるRinse mixでのトラックリストが示すように、現在のKode9のセットはテンポやスタイルの両面で目まぐるしいアップダウンを見せており、ハウスで始まったかと思えばフットワークやインスト・ヒップホップへと展開したりする。実に2011年のアルバム『Black Sun』以来となるSteve Goodmanによる新作にはまさにフットワークへの接近が色濃く窺え、ダブステップやハウスから離れて150-160BPMのテンポ・レンジでの実験を繰り広げている。 "Xingfu Lu"ではピッチを落としたクラップ、短いスネア、逞しいサブ・ベースの轟音など、典型的なフットワークのサウンドを導入しており、三連符と二連符を組み合わせたリズムが楽しげに絡んでいる。それでも、あからさまなクリシェを避けるあたりがGoodmanらしいところと言え、繊細なタッチが覗いたり、各エレメントを彼のトレードマーク的なサウンド(とりわけ眩いシンセ)と繋ぎあわせて不調和と調和のあいだを絶妙に行き来している。"Kan"は冒頭から明瞭で明るいムードが全開で、オープニングでの真珠のような光沢を持ったシンセはやがて単音に置き換えられ、推進力に満ちたサブベースのシンコペーションの上を駆け上っていく。全体的には高いテンションで満ちていながら、そんななかにもどこか奇妙な哀調というべきムードが潜んでおり、静かに漲っていくようなこの恐怖感はやはりこれまでのGoodmanの音楽からも感じられた感覚でもある。昨今フットワークに接近しようとする著名プロデューサーは数多いが、この作品でGoodmanが示しているようなフットワーク独特のオリジナリティと自身の熟練した技巧を融合できているものは稀有だろう。
  • Tracklist
      A Xingfu Lu B Kan