Daft Punk - Get Lucky

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  • 流行の話題に乗っかり過ぎるのは決して本意ではないのだが、世間を目下賑わせている『Random Access Memories』を取り巻くハイプについて個人的にひとこと言っておきたいことがある。ついこの間まで、Daft Punkに対して失望するということは考えられないことだったはずだ。彼らは、自らの手で作り出したこの熱狂と期待にどんなかたちで応えるというのだろう?中には、「みんな『Human After All』がどれほどの駄作だったのかという事実を忘れちまったんじゃないの?」と言う人々もいる。たしかに、それも理にかなった意見だし、「すべてハイプの賜物じゃないか」という意見もまた正しい。先週の金曜日までに我々に与えられていたのはいくつかの写真とティーザー・クリップだけだったので、その時点での熱狂と興奮はまさしくハイプに他ならないものだったと言えるだろう。だが、そうしたハイプさえ軽々と上回り、この10年間で最も待望されたエレクトロニック・アルバムからのファースト・シングルとなる"Get Lucky"は正真正銘の名曲として世に出た。 この曲には、明らかなアピール・ポイントがたっぷり秘められている。Pharrellは素晴らしいシンガーだし、曲自体も恐ろしいほどキャッチーに仕上がっている。Nile Rodgersのギター・ワークやバックで鳴らされるピアノからはオーセンティックなディスコ・フィールをにじませ、ビートはまさしくクラシックなDaft Punk流のそれで、ヴォコーダーも以前にも増して効果的なサウンドを演出している。Spotifyでいきなり再生数の最高記録を破るなどさっそく絶大な人気を得ているこの曲に対し、大多数のDJたちはほとんど抵抗することはできないだろう。下手に逆らおうとすれば、自分が痛い目を見るだけだ。 とはいえ、"Get Lucky"の最も大きな収穫は意外なほどに繊細なものだ。Daft Punkがこれまで手掛けてきたすべての音楽には、少なくともアイロニー的なタッチが含まれていた。Rolling Stone誌はかつて『Homework』を「別の何かをほのめかすようなグルーヴ」と評したものだ。『Discovery』『Human After All』といった作品群にしたって、彼らがそれを意図的にやっていたかどうかはわからないが、やはりどこか他と違う奇妙さが感じられた。そうした点がこの"Get Lucky"には一切感じられない。つまり、100%純粋なポップソングであり、その本質においてこそこの曲はDaft Punkにとって大きな一歩なのだ。個人的な考えで言えば、この曲は彼らがこれまでに発表した作品のどれに比べても成熟したものである。
  • Tracklist
      01. Get Lucky