- スペース・アウトした宇宙感覚のR&B、ブロークン・ビーツ、ミュータント・ジャズ・・・Simpleによる即興性の高いエレクトロニカから連想されるジャンルはこういったものだ。Ilian TapeやProdukt Schallplatten、そして自身のTwo Circlesからのリリース群を経てKonstantin Papatheodoropoulosはわずか全18分ほどのなかに6曲ものささやかでときに荒涼とした作品群を詰め込んだEPをR&Sのオフシュート・レーベルApolloから届けてくれた。
こう言ってしまうと身も蓋もないのは承知だが、"Barely Together"はまるで10年以上前のチルアウト・コンピから抜け出してきたかのようなサウンドだ。スウィートかつストーンした感覚を持ち合わせたジャズに、もっさりとしたビーツと幽玄な吐息が絡んでいる。"Main Street"も同様のテンポで、ローズ・ピアノをエフェクトまみれにしている。いっぽう"Lather"は良い意味で狂乱的なムードで、ある面では狂ったクロッグダンス(木靴で踊るダンス)のようでもあり、ある面ではかすかに遠くで響く賛美歌のようでもある。"Draw the Shades" "Felt and Cognac" "You Used To Run It All"の3曲はSimple本人が仮に無意識であったにせよ、あまりにも参照元があからさまに過ぎる(前2つの曲はBurial、最後の1曲はJ Dilla)。とはいえ、"You Used To Run It All"でのスローモーなヒップホップはなかなかの出来だ。
Tracklist 01. Barely Together
02. Main Street
03. Lather
04. Draw the Shades
05. Felt and Cognac
06. You Used to Run It All