Ellen Allien - LISm

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  • Ellen Allienの作品を一貫して貫いているものがあるとすれば、それはサウンドというよりは彼女の持つアティテュードだろう。『Sool』の凍てつくようなアブストラクトから『Dust』の楽しげなインディー・ダンスまで、『Orchestra of Bubbles』の先鋭的テクノポップ(訳注:Apparatとのコラボレーション)から『Watergate 05』での堂々たるハウス・ミックスまで、彼女はあたかも定型化されることへの抵抗を続けているように見える。彼女は、同じ方法論を繰り返そうとはしていないし、過去の成功体験にも頼ろうとはしていないのだ。 この姿勢には当然二面性があり、良い面としてはその誠実さが挙げられる。たとえその最新トラックがあなたの好みに合わないものであったとしても、少なくともそれらが彼女の心の本懐から生み出されたものであることが分かるが故に彼女を尊敬することが出来る。さて、その悪い面は?それは作品におけるある種の深みが足りないことだ。いくらか輝きの片鱗を見せながらも、アルバム全体としては単なる意識的な自己変革を見せつけられているようで、彼女が持ち合わせた経験に基づく確信に満ちた作品というよりは、なんだか「ためしに作ってみた」デビューアルバムのように毎回感じられてしまうのだ。スタイル的な変わり身がこうも多いと、実は彼女がアーティストとして主張したいものを元々それほど持っていないという事実を巧妙に塗り隠しているのではないかという疑念すらも浮かんでしまう。 しかし、遂にと言うべきか、この『LISm』においてそうした疑念はぬぐい去られるだろう。コンテンポラリー・ダンス作品のためのサウンドトラックとして元来制作されたこの作品は、AllienとBPitchでの同僚Thomas Mullerとのコラボレートによるもので、またBruno Pronsatoも交えて再構成が行われている。一見、興味深くありながらも目新しさだけを追った危なっかしいものにも見えてしまうが、実際はこの『LISm』には入念に練り上げられたスタイルとAllienがここしばらく追究してきたサウンドの具体性が明確に提示されており、それらをまるで美しく構築されたDJセットのように45分間の作品にまとめあげている。 『Dust』でのウィークポイントであったソングライティングという制約から解放されたアンビエントDJセットのようなこの作品はほぼ9割がノンビートであり、Allienの偽りの無いエモーションが横溢している。アンビエントという枠組みの中で、彼女は埃っぽいギター、ジャズの断片など興味深い色彩を繰り広げてエモーションを発露しており、最終盤のクライマックスではドローン的なシューゲイズ・エレクトロニカと透明な朝日のようなテクノが展開される。不規則で遠回りの蛇行のようなアルバムではあるが、瞬間ごとのきらめきに満ちた作品でもある。
  • Tracklist
      01. LISm
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