eleven 3rd anniversary Classic Is Your Friend

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  • 東京西麻布のクラブelevenが、三周年を迎え、2/15、2/16の2日に渡ってアニバーサリーパーティーを開催した。2日目は、elevenにて多くのパーティーをサポートしてきたPRIMITIVE INC.の協力のもと、Derrick L. CarterとLuke Solomonの二人を迎えての“Classic Is Your Friend”が開催された。90年代から活躍するClassic Music Companyは、シカゴ出身のDerrick L. Carterとロンドン出身のLuke Solomonの二人によって始動。DJ SneakやGeminiなどのシカゴ勢のみならず、NYのMetro Area、ドイツのStefan GoldmannやイギリスのRekid aka Radio Slave、Nailなど、各地の才能を発掘、ピックアップしてきたハウスレーベルだ。ルーツを重んじつつも、時勢に左右されず、自らが培ったものから今のシーンに何を提示できるかを模索している点では、elevenもClassicも共通しているのではないだろうか。また、Derrick L. Carter、Luke SolomonのClassicコンビが揃って来日するのは、8年前にelevenの前身となったクラブ、Space Lab Yellowで行われたパーティー以来とのこと。なにかと縁を感じる組み合わせだ。アニバーサリー当日、エントランスやバーカウンターはフライヤーデザインにも採用された真っ赤な風船で彩られていた。風船のデコレーションと言えば、David Mancusoの“The Loft”や“Body & SOUL”といったパーティーを彷彿とさせるもの。素晴らしい一晩の予感を感じながら、フロアへと向かうことができた。 Photo Credit: Ryu Kasai メインフロアはDJ Kenseiからスタート。80年末からキャリアをスタートし、ヒップホップからハウス、テクノ、アンビエントに至るまで様々なスタイルを使い分けるDJの中のDJだ。この日はScratch Liveを使い、緩やかなBPMのビートダウンから徐々に跳ねたファンキーなハウスへと移行。過去にClassic音源のみで構築したMix CD『In Classic Classics』をリリースしているだけあり、確実にこの日のフロアのムードを造り上げていた。続くLuke Solomonはより大胆な展開を生み出すミキシングと選曲だが、鮮烈な出音を支えるリズムの質感はしっかりとキープ。彼の特色とも言える、捻れたサンプルが生み出す奇天烈なグルーヴ感は、未だにフロアで強力に作用していた。ピークタイムらしい選曲を経て、徐々にシカゴらしいフレーバーを盛り込みながらバトンタッチ。Derrick L. Carterは、よりセクシーで重心の低いディープハウスへと移行。まとわりつくようなダークさを感じさせつつ、ひたすら肉感的で踊らせるサウンドだ。軽薄さや粗さも含めて、ハウスのあらゆる要素が不可分なく表現され、なおかつ自らのヒプノティックな個性も色濃く醸し出されていた。ブースの様子を見るに、この日はDerrick、Lukeともにメモリーを持ち込みCDJ-2000でDJを行っていたようだ。アナログ愛好家にとっては少々残念かもしれないが、各国でパーティーを行う二人にとっては可搬性や操作性を含め、ベストな選択なのだろう。 Photo Credit: Ryu Kasai ラウンジにはelevenを拠点とするパーティーThe West Azabu House Syndicateが登場。日本国内を拠点にしつつ、世界へと発信する実力派がラインナップされた。まずはWOMBやageHaなどの大箱でも実力を発揮するMasakatsu.Sからスタートし、Classicからのリリースも待ち遠しいYOSA×SHU OKUYAMAのワイルドさと繊細さがかけ合わされたDJセット、先日ローンチされたレーベルも好調なfasten musique主催Yoshitacaの味わい深いディープハウスセットなど、どれをとっても間違いない内容であった。Yoshitacaと共にeleven2周年でもDJを行い、今年はラウンジのオーガナイズを務めたKikiorixは、現場の空気感をとらえつつ、シカゴハウス的なラフさを挟み込む自らのスタイルを存分に発揮した。この日もelevenらしいロングパーティーとなったが、DJ Pi-geも久々となるロングセットを敢行。新旧問わず、ハウス、テクノの見逃されていた側面を掘り起こすような選曲は、やはり現代のダンスミュージックの本道を理解する彼ならではのものだ。 Photo Credit: Ryu Kasai フロアのムードも最高潮となったところで、メインの後半はLuke Solomonの更なるハウスセットからDerrickとLukeのディスコセットへと移行。エディットによって更なる効力を与えられた数多の名曲を、惜しげもなくフロアに投下。彼らの癖の強いプレイスタイルと王道な選曲とのギャップも刺激的な、まさにダンス・クラシックの応酬と言えるような時間となった。どれだけ時間を経ても涼しい顔をしてプレイするDerrickの姿からは、このカルチャーに対する濃厚な愛情が感じられた。もちろんLukeも同様で、あれだけ長尺なDJの後でも執拗にアンコールを行うタフさは、全く驚きである。彼らがelevenの周年にふさわしい人選であったことは、音が止まったフロアでの、オーディエンスの充足感あふれる表情からも容易に伺うことができた。 Photo Credit: Ryu Kasai 現在の日本では、DJ本意のことをやれて、なおかつクラブ規模のパーティーを成立させることができる場所は、そう多くはない。それを実現するためには、いい意味でビジネスすぎず、その逆でもない、ぎりぎりのバランスを保たなければいけない。その点でもelevenは都内では特別なポジションを確立したと言える。システム面ではこの一年で大きな変化はなかったものの、音響や照明を地道にアップデートしつつ、方向性を固め、店のキャラクターが明確化されていると感じる。メインフロアのサウンドを聴けば、その一端を感じ取ることができるはずだ。数多のパーティーの中でも特別な体験になったと同時に、東京のクラブシーンにおいて、elevenが必要不可欠な場所であることを再認識した一日であった。