Diamond Version - EP3

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  • Alva NotoとByetone、それぞれのソロ・リリースが主に難解でコンセプト中心であることを踏まえると、このDiamond Versionでの彼らのアプローチは意外なほどにストレートなものだ。5枚のEPシリーズを発表した後にアルバムとしてまとめられる予定のこのプロジェクトは、各作品に明確なテーマ性はなく、サウンドそのものとして存在している。そのトラックごとのタイトルにも現れているように、このデュオの打ち出すサウンドは明快なものだ。タイトルは聴き手に深い意味をほのめかしているようにも思えるのだが、実際のところ、そこに鳴っているサウンドそのものがすべてなのだ。これまでDiamond Versionの12インチ・シリーズで展開されてきたのは精緻に削りだされたクラブトラックであり、そこにはこのデュオならではのストロボが明滅するようなリズムと不条理なユーモアが散りばめられている。 テクスチャーという点では、この「EP3」も前作・前々作と特に変わったところはなく、クロームのようなその表面は極限まで磨き上げられ、デジタル・ディストーションの波が中域を駆け抜け、そのリズムはさまざまなサウンドが軋み合う空間の中を断固と突き進むのに十分な力強さを持ち合わせている。しかし、そのリズムという点ではこれまでのEPにくらべてより速くなっているようだ。"Turn on Tomorrow"とBサイドに収められたその別ヴァージョンはペースも速く、明らかにエレクトロ的なリズムとなっている。とくに、Bサイドのヴァージョンにおけるタイトに絡むベースラインと跳ねたパーカッションはDJ Stingrayの近作におけるパラノイアぶりを連想させる。"Sense of Urgency"はより分厚い質感でペースも遅めだが、ごつごつとしたベースの砲撃と深く切り込むような鋭さを持ったシンセが野卑な力強さを印象づけている。タフで禁欲的でありながら、音楽的な享楽性もしっかり残したこの「EP3」は、当シリーズ中でも屈指の仕上がりだと言っていいだろう。
  • Tracklist
      A Turn On Tomorrow B1 Sense Of Urgency B2 Turn On Tomorrow (Version)