- 初期WarpにおけるIDMの先駆者たちから、ジャングルにおけるより直感的な部分まで影響を受けたというマンチェスター出身のJoe McBrideは2007年以来ベース・ミュージックとエレクトロニカの境界をぼやけさせるような活動を続けている。Synkro名義としてはSmokin' SessionsやBox CleverをはじめAuxiliaryやExitなどのレーベル群から怒濤のごときリリース・スケジュールを展開してきた。R&Sのアンビエント専門サブレーベルApolloからはこれが去年4月の4曲入りEP「Broken Promise」以来となる2枚目のEPリリースだ。
8曲からなるこのEP「Acceptance」から伝わってくるのは、McBrideが自律的なサウンドをMetamaticsやXela、Lusineあたりの哀調を帯びた90年代後期のエレクトロニカと見事に融合させているということだ。このEPが持つ暖かみの深さがこれほど印象的に響くのは、おそらくそのオーガニックなサウンドの方向性によるところが大きいだろう。あえて欠点を探すとすれば、タイトル・トラックでのあからさまなほどに痛切なスポークン・ワードがやや古くさく感じるし、ややコマーシャルに過ぎるきらいもある。ApolloのLiam BlackburnことIndigoによるギターをメインに据えたコラボレーションも蛇足に感じられてしまう。こうしたちょっとした欠点はあるものの、このEPはよく考え抜かれた構成で成り立っているし、そのテクスチャーという点でも豊かさを持ち合わせている。Boards of Canadaの牧歌的なムードが好きだった、というリスナーにはお勧めだ。
Tracklist01. Acceptance
02. To Be
03. Disappear
04. Recognition
05. Spirals
06. Illuminations
07. Mutual Divide
08. Don't Want