Ben UFO - Fabriclive 67

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  • この『Fabriclive 67』におけるBen Thomsonの試み—つまり、「情報がカオス的に飛び交う現代において、人々のために音楽をコンテクスチャライズ(文脈化)して提示する」という意図を説明するには、やはり彼の『Rinse:16』を引き合いに出さずには語れない。『Rinse:16 』に比較するとこの『Fabriclive 67』はよりダークで、よりフォーカスが絞り込まれているように思え、享楽的な開放感が味わえる瞬間はごく少ない。『Rinse:16 』でAndrew ColtraneやHow To Dress Wellの夥しいノイズに彩られていたような、分かりやすい明確なエンディングもここにはない。そのかわり、このミックスに横溢しているムードはファンキーかつ不穏で、夜の恐怖感や無慈悲なマシーン・グルーヴである。 ことBen UFOに関して言えば、その深さが際立つ。もしこの『Fabriclive 67』が彼の他のミックス作品に比べてもひときわ調和のとれた推進力を有しており、他の大部分のDJたちが考えつきもしないような場所に連れて行っていくとしても、その予測不可能性はきわめて希薄だ。Thomsonはきわめて強い掌握力をもって、その素材(選曲)の持ち味を余すところ無く引き出してみせるし、彼自身それを良く分かっている。ミックスの冒頭では、歪んだ怒濤のようなグルーヴというL.I.E.Sの典型的なスタイルからボンゴとブリープが入り交じったTim "Love" Lee "The Tortoise"へと力強くしかも巧みに移行してみせる。そこから夢想的な展開がしばらく続くと思いきや、ShackletonがKasai Allstarsのアフリカン・ハイライフを調理したMukuba Special"が襲いかかってきたり、Mr Finger "I'm Strong"が液体的に滑り込んできたり、"Zug Island"の酩酊的でアシディックなグルーヴへと導いてみせるのだ。 しかし、それ以外のパートでのThomsonはひたすらハードに攻め立てる。ベース・ミュージックのリーダーたちがテクノ化しているというトピックは昨年のあいだにさんざん話題になった。しかし、Ben UFOは単なる「テクノ化」という以上のことをやってのけている。彼はもっとも硬質な展開であっても、ステディな推進力やじわじわとした展開の変化といったテクノ由来ではないUK独特のハイブリッドを落とし込んでみせる。とめどなく襲いかかる、うっすらと浮かび上がるようなガラージ・ベースライン、断片化されたR&Bヴォーカルのサンプル、グライミーな電子音、激しく震えるようなレイブ・ルーツのリフなど、Ben UFOのスタイルはBerghain的というよりはブリクストン的といったほうがより正確だし、ビーツは常にフレッシュにぶつかり合い、跳ね回るようなフィルに彩られている。リズムという点では、Ben UFOの中には軽やかさと溢れる活性の高さが同居している。この資質こそ、彼を単なる「レアなレコードを掘り当てるディガー」のみに留まらず、異例のパーティDJたらしめている理由であろう。
  • Tracklist
      01. Mix Mup - Dub 02. Delroy Edwards - Feelings 03. Pev & Kowton - Raw Code 04. Tim 'Love' Lee - The Tortoise (Sex Tags Mania NYC Mix) 05. Elgato - Zone 06. Gesloten Cirkel - Twisted Balloon 07. Chicago Skyway - It's OK 08. K Hand - Project 5 (Untitled B1) 09. Fluxion - Pendoulous 10. Minimal Man - Consexual 11. Jam City - Club Thanz 12. Herbert - Take Me Back 13. Lowtec - Looser 14. Pearson Sound - Clutch 15. Mr. Fingers - I'm Strong (Instrumental) 16. Shackleton vs Kasai Allstars - Mukuba Special 17. Kyle Hall and Kero - Zug Island 18. Circuit Breaker - Ping 19. Osborne - Bout Ready to Jak (Shake Remix) 20. Juniper - Jovian Planet 21. A Made Up Sound - Malfunction (Despair) 22. Grain - Untitled 23. Bandshell - Perc 24. Blawan - And Both His Sons 25. Pangaea - Release 26. Joe - Studio Power On 27. Floating Points - Danger (Locked Groove) 28. Grown Folk x Main Attrakionz - I.C.E. (Kuedo Remix)