Diamond Version - EP 2

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  • Diamond VersionはMute Recordsが仕掛人となった2人のヴェテラン・エクスペリメンタル・アーティストCarsten Nicolai (Alva Noto) とOlaf Bender (Byetone)によるコラボレーション・プロジェクトである。この2人はRaster-Notonの主宰者としてもよく知られるところである。この2人は「情報社会におけるデジタルで短いメッセージ」に着想を得ているのだが、そうした引っ切りなしの商業的スローガンやあらゆるサウンドの断片は現代に生きる消費者の目や耳にとっては決して未知のものではないはずだ。 なぜか控えめな印象に終始していた「EP 1」に次いでリリースされた本作「EP 2」は打って変わって冒頭から濃密に迫る。オープニング・トラック"Science for a Better Life"はおそらくこれまでのDiamond Versionのトラックのなかでも最良のものだろう。これ以上ない解像度の高さで彼らの精巧なパーカッシブ・スタイルが投影され、腑の底から唸りをあげるようなヴォイスは"Do you suffer from pain?"というおなじみの広告のキャッチコピーをひねり出しながら、CMよりもはるかに強い印象を聴く者の脳内に刷り込ませる。こうしたスローガン的なアプローチは80秒のプロテスト・ソング"Shift the Future"(その元々のヴォーカル・ラインは"You lie, we die"というものだ)においてその皮肉をより明確に浮き上がらせる。フロア的なトラックを求めているリスナーなら、Raster-Notonをより獰猛なビーツに仕立て上げたような"Forever New Frontiers"での痛烈さ、うねり、鋭利さにはきっと満足するはずだ。 最終的にMuteはDiamond VersionのEPを5枚リリースする予定で、2013年後半にはアルバム・リリースも予定しているそうだ。この「EP 2」で展開されているような捻れたポップ感覚と多様性あふれるエレクトロニクスが何かを示唆するものであるとしたら、そのアルバムは今年最も注目されるであろうエクスペリメンタル作品となるであろうことは必至だ。