Mala - Stand Against War

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  • 未発表のダブ・プレート群の中からMalaがこれぞという物を選んでリリースする時は、いつだってちょっとした話題を呼ぶ。しかし、今回のリリースはひときわ特別なものに感じられる。それは、ここ最近のDMZからのリリースがあからさまなまでにCokiへ偏重していたからということが理由ではない。今年始めにリリースされたMala in Cubaはこのダブステップ界のパイオニアにとって新時代の幕開けを告げるものであったようにも感じられたし、そのスタイル自体にはラジカルな変化こそないものの、少なくとも彼の野望の高さを匂わせるものであった。それを踏まえると、この「Stand Against War」は古くからの熱心な彼のファンに対しての和解の申し出であるのかも知れない。つまり、Malaという価値は不変であり続けるという再証明でもあるのだ。 もちろん、このリリースにおいて真に驚く点はない。この2つのトラックはどちらも過去数年ダブ・プレートとしてプレイされてきたものだし、仮にまったくの未発表であったとしても、Malaが手掛けた作品である以上はそのクオリティはすでに保証されたようなものだ。"Maintain Thru Madness"はよりトラディショナルなハーフ・ステッパーで、ひび割れたスネアや引き摺るようなサブ・ベース、不安定で尖ったハイハットが配されている。荒れたパッドが溶けたディレイの痕跡とともに時折塗り込まれ、かつてのダブステップが有していたような薄明かりの都市のランドスケープを浮かび上がらせる。しかし、これは使い古されたクリシェのリサイクルなどでは断じてない。Malaの途方もないディテールに対する拘りこそ、このフレッシュさの源なのだ。いっぽう、"Stand Against War"はよりストレートで、分厚いパーカッションが唸るようなサブ・ベースを取り囲んでいる。ひとたびドロップが畳み掛けると(Peter Snowによるものだ)、ダブステップ特有のハーフ・タイム/ダブル・タイムの二分法が炸裂する。キックとスネアが正確なハーフ・タイム・ビートで打ち付けられ、サブベースとシンコペートするボンゴの微細なモザイクと絡められている。
RA