Drexciya - Journey of the Deep Sea Dweller III

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  • その中心人物であったJames Stinsonの死去から10年を経た現在でもなお、Drexciyaが遺した深い影響力がこれほど長く持続している事実には驚嘆を禁じ得ない。このデトロイトのデュオが遺した音源のほとんどがつい最近リマスター&リイシューされるまでは、ごく限られた数しか出回っておらず、ほとんどが質の悪いヴァイナルか低音質MP3しか存在しなかったにも関わらず、だ。このリマスター&リイシュー作業はClone RecordsのオフシュートであるClassic Cutsの熱意によって実現し、この謎に包まれたデュオの歩みを克明に記した4パートにも及ぶ一大レトロスペクティブもここに3枚目のリリースを数えることとなった。すべてのトラックはオリジナル・テープ音源をもとにAlden Tyrellによるリマスタリングを施されており、Cloneはオリジナル・リリースをそっくりそのままの形態でリイシューしないかわりに、ほぼ10年にも近いDrexciyaのキャリアを時代ごとに分けてそれぞれ異なるアルバムやEPから選曲している。この『Journey of the Deep Sea Dweller III』は、StinsonとそのパートナーであったGerald Donaldが90年代中期にUnderground ResistanceやSubmergeを舞台に活動していた時期の作品を中心にまとめられている。 Tyrell自身はこれほどのクラシックで貴重なマテリアルを台無しにしないよう、そのリマスタリング作業において神経質とも言えるほどの細心の注意を払ったそうだが、その甲斐あって素晴らしいリマスタリングが施されている。オリジナル・ヴァイナルで聴かれたような望まざる粗さはすべて丹念に取り除かれ、本来のDrexciyaサウンドたるこの世のものとは思えないほどのアトモスフィアと生々しさが浮き彫りになっている。中期Drexciyaにおける傑作のひとつである"Intensified Magnetron"での虜仕掛けになって収縮するシンセ・リフ、"Sea Snake"でのベースがうねるダンスフロアー・デストロイヤーぶり、"The Mutant Gillmen"での芯のあるアトモスフェリックさなど、中期Drexciyaだけではなくデトロイト・テクノ&エレクトロ最盛期におけるこの上ないガイドとも言えるだろう。これらのトラックを初めて聴くというリスナーにとっては、このリリースを購入する価値は十二分にあるはずだ。 他にも聴きどころは満載。"Nautilus 12"はコントロールの定まらないベルに乗っかっているかのようで、"Vampire Island"はたった3分の長さでありながらマントを纏ったドラキュラがみずからの領地を闊歩しているかのような鮮明なイメージが浮かび上がる。これらのクラシックスに加え、簡素だが催眠的な"Flying Fish"、そして堂々たるインストゥルメンタル"Unknown Journey IV"という未発表トラックも2曲収録されており、 やはりこの『Deep Sea Dweller III』はDrexciyaのミステリアスでアクアティックな世界観を知るための格好の資料となっている。
  • Tracklist
      01. Smokey's Illegitimate Report 02. The Countdown Has Begun 03. Aquabahn 04. Intensified Magnetron 05. Sea Snake 06. Flying Fish 07. The Mutant Gillmen 08. Unknown Journey IV 09. Nautilus 10. Vampire Island 11. Aqua Worm Hole 12. Bubble Chamber 13. You Don't Know 14. Red Hills Of Lardosa