Answer Code Request - Main Mode / The Host

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  • Patrick GräserがFacebookで書いていた"versatile techno"(多様性のあるテクノ)という表現は、まさしくこのMarcel Dettmann Recordsから届けられたこの2枚の12インチにぴったりあてはまる。Gräserは2009年から自身の本名名義でリリースを続けているが、ここ最近ではAnswer Code Request名義での制作に集中しており、テクノとその周辺に散らばるあらゆるフォームを取り込んだ意欲的な展開を続けている。そのアプローチはいわばShedと同質のものといえるが、彼の感性もまた広く開かれたものである。 1枚目のEPでのタイトルトラックとなる"The Host"はワイルドに霞んだキックと痛烈な高域ではじまる。16分のシンセはパーカッションと呼応し、トラックの時間軸を狂わせている。まちがいなく、これまでGräserがリリースした作品のなかでも最もタフなトラックだろう。"Thu"は90年代後半のIDM的なトリックをうっすらと絡めて揺らいでおり、"Mikro"は幻惑的なアルペジオとスタブ的に使われるブロークン・ビーツによって深みのある仕上がりになっている。 もう1枚の「Main Mode」もまた同様に多様性を持った内容だ。タイトルトラックではGräserの新たなホームとなったBerghainで好まれそうな、うねったグルーヴのテクノをより性急に解釈している。この濃密さは、ダンスフロアーはもちろん、ホーム・リスニングにおいても歓迎される質感を持ち合わせている。"Biokenetik"もまた、全体のフリークエンシーを使い切った濃密なトラックだ。そのベースやどこかエスニックな香りも漂うパーカッションはゆるいブレイクビーツにエモーショナルなムードを喚起させている。EP最後となるアンタイトルド・トラックではまたしてもブロークン・ビーツを取り入れているが、そのグルーヴに注ぎ込まれたセンスはどこまでも痛烈だ。Gräserの多様性を余すところなく表現した1枚であると同時に、これからの彼のさらなるクラブでの活躍を予感させる。