Prins Thomas Orkester - OVING EP

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  • 他のノルウェーのアーティストたちと同様、Prins Thomasの音楽は気楽さが無限に続いていくようなリズムに満たされており、活き活きとしたビートは地平線までひたすら伸びていくようでもある。ハウス的であると同時にロックっぽさをキープする彼の音楽にあって、グループで作る音楽を「ジャム」と称すことは何ら意外でもない。そして、このEPに収められているのはバンド演奏による、長尺で行くあてもないような音楽だ。そしてその仕上がりは、まさにPrins Thomasの音楽をバンドで演奏したらこうなるだろうという予想に違わないものとなっている。 ひとまずスペース・ディスコは忘れてしまおう。"Snake Music"はデザート・ディスコ、つまり砂漠のディスコと呼ぶべきで、じりじりと灼け付くようなリズムが焦げた大地と砂の風景の上で転がっている。この曲のブルージーなムードは、EP全体をうっすらと覆うムーディーさや穏やかさを決定づけている。そして、ガラガラヘビのようなシェイカーは実にThomasらしいユーモア感覚を象徴している。"Arild Moen"にはいわゆるスペース・ディスコ的な展開から容易に想像できる壮大なクライマックスが用意されているが、それが生の弦楽器によるものとなるとやはり凡百のスペース・ディスコとはひと味違う。いっぽう、"Hamar Bluesklubb"はまるでバンドが人力でメカニカルで整然としたグルーヴを模倣しようとしているような印象で、そのパワフルなベースは別としてもPrince Thomasらしさはいささか希薄だと言わざるを得ない。これはバンド演奏であるがゆえの先天的な弊害かもしれないが、"Surkal"もまたちぐはくな印象が拭えない。ゴージャスなストリングス・リフとカラフルなギターは初期のKraftwerkの足下にも及ばず、いまひとつ形式的すぎるのではないか。
  • Tracklist
      A Snake Music B Hamar Bluesklubb C Surkal D Arild Moen