- モスクワをベースに活動するOleg BuyanovことOLはこれまでにもError BroadcastやAstro Nautico、Facesといったレーベルからトラックをリリースしてきているが、同時にDIYスタイルのフリー・ダウンロード・リリースでも定期的に膨大なトラック群を発表している。この「Body Varial」はこれまで彼が発表してきた作品のなかでも最も徹底的なものだろう。
幽玄なテクスチャーで埋め尽くされたイントロで始まる"Let It"はやがてよろよろと崩れたビーツへ進み、"Combination"でも依然としてぼんやりと揺らいでいる。ここではWu-Tang Clanのクラシック"C.R.E.A.M"のサンプルがチョップされているが、ギラついたシンセと性急なパーカッションがフットワーク的なトラックに現代的な魅力を与えている。"Keep Calm"と"Yes Lie"は捻れまくったトラックで、暗闇の中を荒々しくはしゃぎ回るような感覚はリスナーを幻惑させる。おそらく、このEPで最も興味深いトラックはOLがLaptiと組んだゲットーテック・チューンだろう。ソウルフルなサンプルを眩い光とフットワーク・ビーツに落とし込み、濃密で中毒性の高いEPをスムーズに着地させている。