Various Artists - Langesthal

  • Share
  • 普段プロモ盤に付いてくるインフォ・シートをじっくりと読み込むことはあまりないのだが、Meakusmaの本拠地であるベルギーのユーペンにあるクラブKatakombenで行われているレーベル・パーティと深い繋がりを持つというこのリリース、「Langesthal」のインフォ・シートは珍しくじっくりと読んでしまった。もちろん彼らならではの捩じれたサウンドの世界を彷彿とさせる文章ではあるのだが、そこかしこに「ポップ」や「クラブ」といった単語が並んでいるのはちょっとした驚きだ。 もしや、彼らは間違ったファイルを送ってきたんじゃないかと疑ってしまう。MadteoのEPを思い出してみてもわかるが、Meakusmaというレーベルにはある種の奇妙さがそのスタンダードとして掲げられていたはずだ。しかし、この「Langesthal」はそうしたこれまでのスタンダードからは大きく外れている。それでも、この作品を聴き込めば聴き込むほど、そのインフォ・シートの真意が分かってくるはずだ。この作品の中にあるポップなサウンドは逸脱した音楽的精神性が一周して戻ってきたものなのだ。 1曲目のTaseとは、おそらくDJ Sotofettが何らかのかたちで絡んだプロジェクトだと思われるが、"Reflection"での暖かな不安定感から"Come Back"でのクールなストーン感覚まで、多彩な表情を見せる。このコンピレーションのアートワークも手掛けたAcido RecordsのDresvnは"Creation"での擦り減ったインタールードを経て、"Flurry of Dust"でおぼろげなリズム感覚と宇宙船の離陸をあえて安っぽいサイケ仕立てにしたサウンドを披露している。先頃Ramp Recordingsからアルバム『Cupp Cave』をリリースしたばかりのSsalivaはまるでShackletonの45回転12インチを33回転でプレイしたかのようなヘヴィで悲壮感漂う"Trap Night"と、Teslaのドラムをアフターアワーズ仕立てにしたかのような"Ivory Tower"を披露。ベルギーのバンド、Bepotelの"Tower Times Island"はまるでひどい船酔いの最中に雲の隙間から時折ちらつく太陽の光のようなサウンドだが、既に彼ら自身の手によってセルフ・リリースもされている"Nulldip"はこのコンピの中でも際立ってキャッチーだ。これらのトラックに共通しているものを無理矢理見つけるとしたら、ドラムマシンとナンセンスなメロディが鳴っているぐらいのものだろう。
RA