Theo Parrish - Hand Made

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  • Theo ParrishとArrested DevelopmentのLucille Bluthとの間にある共通点とは何だろう?それは両者共に自らの創作意欲を抑えるということをしない、という点だ。ヴァイナルでは入手困難だったトラック群をまとめた『Sound Signature Sounds Vol. 2』や『Uget』などのTheoのここ最近のCDリリースを振り返ってみても、気が遠くなるほど入念なCD用リマスタリングが施されていた。 この『Hand Made EP』もまた純粋に音質という点でも非常に優れているが、決してそこには子供騙しのようなギミックはない。とりわけ、Aサイドの"Black Mist"は2010年にごく限定でリリースされたハンド・ペイントのトリプル・パック「Sketches」をエクステンディッド・エディット化したものなのだが、ドラムマシンが暴れ回り、ゴツゴツとした感触のハウスグルーヴを押し出しながら粗い砂利のようなベース・シンセがストーンしながらぐるぐると歩き回る様は圧巻だ。否応なく引き込まれる説得力に満ちたこのトラックは、まさしくTheoならではのものだろう。 "Pop Off"はぐっと抑制された印象で、吹けば飛ぶようなキーとベルがシャッフルされたドラムグルーヴに載り、7分間にわたって不穏なハーモニーを奏で続ける。しかし、サウンドはより調和性が高く設定されており、波状になったコードはPepe Bradockの近作と同様のヒプノティックさが絶妙なバランスをもって醸し出されている。"Wild Out"もまた同様で、ほとんど聴こえるか聴こえないかというところで鳴るうねりが神経質なアルペジオとミキサーに直接突っ込んだかのような生々しいドラムマシンの音色に絡んでいる。タイトル通り、このEP中の3トラックのなかではもっとも異質な存在感を放っているが、抗いがたいフレッシュさがあるのもまた確かだ。彼独自のルールで展開されつつも、我々が入り込む余地があるのだ。これぞTheoらしい世界だと言うべきだろう。