Moomin - She Said She Won't Be That Long Away

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  • ハンブルグのディープハウス・プロデューサーであるMoominが非常に熱心なヒップホップのリスナーであるという事実は一瞬奇妙にも思えるが、"Beautiful As You Are"にはどこかDJ ShadowがDialのサウンドに迷い込んだかのような錯覚を覚えさせる。テープ・ノイズがかすかに混じったようなキックドラムのパターンに沿って、繊細なコードが走り、ときどき細切れになったホーンがかすかな煙のように浮かび上がる。まさしくDJ Shadowが90年代にやっていたトラックの質感を彷彿とさせるのだ。サンプル・ソース自体はそれほど重厚なものではないにせよ、Sebastian GenzことMoominならではのチャーミングな手腕が冴え渡っている。 Aimからは3枚目となるこのEPでのBサイド2曲も同様だと言える。とりわけ特別なトラックというわけではないが、そのリラックスしたグルーヴからはMoominが煙草をふかしながら夢想に耽っているようなムードが伝わってくる。"Don't Fly If It's Foggy"はのっそりと這い回るようなベースラインがKassem Mosseを彷彿とさせるが、ストリングスのサンプルが湿った風のように包み込んでくるあたりはやはりMoominならでは。ジャズ的なテーマがぴったりとはまっている"She Said She Won't Be That Long Away"では、アコースティック・ベースのサンプルが当EP中でも屈指の際立った存在感を示している。遠くで鳴り響くようなピアノはいつものMoominらしさを思い出させてくれる。全体的にドリーミーでありながら、同時にオーガニックな土の匂いも感じさせてくれる作品に仕上がっている。
RA