- Theo Parrish主宰Sound Signatureからのリリース歴もあるHoward ThomasがH-Fusion名義として放つ本作。A面に収録されたMarcellus Pittmanをフィーチャーしたタイトル曲"Wicked Bitch Witch"では808で構成されたタイトなリズムに序盤から挿入されるカットアップされたエレクトリックピアノとウッドベースがシンセサイザーと共に一気に荒れ狂い、突如終息する。その構成が淡々と繰り返されるシンプルな内容にも関わらず、フロアの高揚感が徐々に高めていくことが期待できる一曲だ。
一方のB面ではロック、ワールドミュージック、ジャズなど様々な音源を彷彿とさせるサンプリングネタをテンポ良く展開させる"Morocco"が異色を放ち、"Eradicate Me"は一言で言ってしまえばダークなエレクトロなのだが、アクセントとなるクラップ音が曲間の端々でその配置をずらされ、その都度グルーヴに歪つなうねりが生じている。また中盤より忍ばされるように立ちあがってくる2種類のベース音や、絶妙に打ちつけるリムショットにより、そのグルーヴはより複雑になり、さらに前述のようにアクセントがずらされるという、危うい魅力を含んだ一曲に仕上がっている。
このEPが孕むマッドネスはDJ時におけるTheo Parrishのそれを想起させる。彼がパワープレイしているのも納得の一枚だ。
TracklistA1 Wicked Bitch Witch (feat. Marcellus Pittman)
B1 Morocco
B2 Eradicate me