- "Mountains Pt. 1"のオリジナル・ヴァージョンはスィングするキックと細いハイハットがくしゃくしゃの紙の上で踊り、湾曲したストリングスやダビーな音色が渦を巻く流線型テクノであり、138BPMという早めのテンポが設定されていた。それに比べるとPedestrianによるリミックスは若干スローでUKガラージ的なローエンドにはめ込まれているものの、その筋肉質なドラム・プログラミングも相まってオリジナルよりもさらにパワフルな仕上がりとなっている。El-Bスタイルのベースが噴出し、断片化されたMCヴォイスのループがそこらじゅうに刻み付けられている（"Pedestrian's Pirate Radio Remix."というサブタイトルにも納得だ）。オリジナルの美しいアトモスフィアをキープしつつ、このリミックスではより強固なグルーヴにフォーカスしており、その周りに散りばめられた細かく鋭いループもしっかりと効果を発揮している。
比較的滑らかなグルーヴの、コードとディーヴァ・ヴォーカルに彩られたガラージ・トラックであった"Turiya"は、 Tesselaによってラフなブレイクビーツと厳ついベースラインが加えられてどこかルーディなグルーヴに生まれ変わった。ループされたコード・サンプルはどこかPepe Bradockの作風を思い起こさせる部分もあり、ぐるぐると回るサイレンや刻まれたヴォーカル・サンプルはとめどなくトラックの上で動き続けている。Pedestrianによるリミックスがクラブの暗い片隅を連想させるものだとしたら、このTesselaによるリミックスはフロアのど真ん中で腕を大きく拡げてクライマックスを迎えるためのものだ。