- Geography Recordsはリリースの量も少なく、そのペースも散発的だが、ここでのリード・トラック"U Know, U Know"のように完璧な中毒性の高さを持ったトラックを繰り出してくるのでまったく侮れないレーベルだ。Geography Recordsにとってはここ2年でようやく4枚目のリリースとなるのだが、このスウェーデン出身のデュオReal Coolにとってこれがデビュー作となることを考えるとその印象はさらに鮮烈だ。その仕上がりの高さは、それがデビュー作だとはにわかに見抜きがたいほどだ。バウンシーなトランペット、ラフで生々しいハウス・ビーツ、トラックの始まりから終わりまで数多く散りばめられたカラフルなサウンドの破片、もしくはそれらをまとめた総体として、実に効果的に機能している。
タイトルトラック以外にも、他の2トラックもまた際立った存在感を放っている。"Reality Begins"は非常に角の取れた、泡立つようなハウストラックであり、シンセが遠くで鳴り、ビーツが弾み、レイジーで長閑なピアノ・コードが配されている。そこにゴムのような質感のアルペジオ・ベースラインが絡むとフワリと浮かび上がるような感覚をおぼえるだろう。"What About Our Weekend Adam"での抑制された沈鬱なムードもまた実に音楽的なピアノ・フレーズに彩られ、その控えめなディスコっぽさも相まってリスナーを一度にいろんな場所へ連れていく。密度が高く、それでいてダイナミックさやカラフルさ、創造性を持ち合わせたこのEPは実に高い音楽性を持った優美なハウス・ミュージックであり、聴く者のハートにまっすぐ飛び込んでくるのだ。