Disclosure - The Face

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  • MJ Coleの"Sincere"がリリースされた当時、サウスロンドン育ちのLawrence兄弟、GuyとHowardはまだそれぞれ3歳と6歳だったという。その彼らがいまではDisclosureという名義を名乗ってUKガラージの伝統を引き継ぐ最前線を走っているのだから、まさしく隔世の感といったところだ。Jessie Ware "Running"の勇敢で爽快なリミックスにおいて彼らが示していたように、Greco-Romanからの初リリースとなるこのアルバムにおいて彼らはポスト・ガラージ的な世界観を提示しつつ、ガラージ独特のアンダーグラウンドとポップの微妙な狭間を辿るようなバランスを体現してみせている。 このアルバムはまさに目眩を催すような1枚だ。"Boiling"ではSinead Harnettによるすばらしく暖かなヴォーカルにフィンガー・スナップを交え、ほっそりとしたハイハットや震えるようなシンセ・コードが奢られており、SBTRKTをよりハイテンションに仕立てたかのようなサウンドだ。"What's In Your Head"や"Lividup"といったトラックではヴォーカルのクレジットは明記されていないものの、その存在感は強力だ。"What's In Your Head"はBasement Jaxxの"Fly Life"をブルージーに仕立てたようでもありつつ、さらにクリスピーかつクリーンな印象だ。XXXYもしくはHot City的なヴォーカル・チョップを交えた"Lividup"はゆったりとした115BPMのテンポが映えている。もし"Lividup"が今年のイビザ・コンピレーションに登場しないとしたら驚きだ。いや、決して皮肉ではない。 Ria Ritchieをフィーチャーした"Control"はアルバム中でも出色の1曲だろう。Todd Edwards直系のサンプル使いはともかく、そのブリーピーなメロディはAbe Duqueの"What Happened"を華麗に仕立てたかのような趣すらある。その軽やかなグルーヴはこともなげに進み、そのバックグラウンドに潜むアンピエンスはリスナーを深く誘い込んでいく。その豊かなリヴァーヴに満たされた音像と濃密なコーラスのバランスは、まさに"Control"というタイトルがぴったりとはまっている。
RA