Sidsel Endresen & Bugge Wesseltoft - Duplex Ride (The Remixes)

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  • 共にノルウェーのヴェテラン・ジャズ・アーティストであるSidsel Endresen(シンガー)とBugge Wesseltoft(ピアニスト)とベルリンのディープ・テクノ・レーベルSleep Is Commercialという興味深い組み合わせが実現。彼らが1998年にリリースしたアルバム『Duplex Ride』をHubble、Public Lover (AKA Bruno Pronsato and Ninca Leece)、Andrea Ferlinといった面々がサンプリング/再構築するという企画盤だ。4つのエディット(リミックス)が収録されている"You Call Me"は、やはりそのオリジナルにおけるソフトなヴォーカルと哀調を帯びたピアノが焦点になっているようで、Hubbleが手掛けたヴァージョンはもの悲しげな素材の性質とシンプルでダスティなパーカッション、スペースアウトしたドローンを調和させ、4つのリミックスのうち最もオリジナルに忠実な仕上がりとなっている。 Public Loverが手掛けたヴァージョンではNinca Leeceをリード・ヴォーカルに交え、オリジナルの歌詞に新たなひねりを加えた上でデカダン的な魅力を付加している。Pronsatoの生っぽいドラム(そして粋なベースライン)も相まって、Public Loverらしい聴きごたえのあるヴァージョンに仕上がっている。Andrea Ferlinが手掛けた2つのヴァージョンも負けず劣らずの仕上がりになっており、"Visionaria S.E."ではカットアップされたヴォーカル・ループとゴージャスなアトモスフェリックさを落とし込み、ディープな哀調を含んだHubbleのエディットとは好対照を成している。秀逸なリミックスが揃ったこの盤だが、個人的にフェイバリットに選びたいのは"Wood"のリミックス・ヴァージョンだ。Endresenのメロウなヴォーカルと即興的なヴィブラフォンのリフを活かした見事なブレイクを中盤に挟み込み、朝方に踊り疲れた体を再びフロアーへと呼び戻すのに十分な魅力を持ったトラックに仕上がっている。
RA