Bepu N'Gali - I Travel to You

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  • ウルグアイのレーベル、International Feelの勢いは止まらない。この次に届けられる予定になっている彼らの新作は、まるでDJ HarveyからのBerghainに対する返答と言うべきか、まったく異なる世界がぶつかり合う接点で鳴らされる不協和音のようだ。とはいえ、このボツワナのBepu N'Gali率いる12人編成のバンドによるEPの冒頭は実に彼ららしいごくストレートさを活かしつつラゴス・ツアーで得たインスパイアを落とし込んだアフロビート・ジャム"I Travel to You"で幕を開ける。プレスリリースが伝えるところによれば、長時間のジャムセッションをN'Gali自身の手によって8分間のトラックに編集しているそうだが、完璧にクォンタイズされたキックや小節ごとに澱みなく鳴らされるパーカッションを聴くとにわかに信じ難いところもある。まあ、そんなこととは関係なくこの曲はワウの効いたギターやチャント、ホーンなどが控えめなフルート(もしくはシンセ?)のフレーズによって導かれた純然たるサマー・ジャムだ。 3つ収録されたリミックスはダブ的な手法を落とし込まれ、よりクラブっぽい仕上がりだ。Tim Love Leeが手掛けた"Fully Bearded Dub"はまさにそのタイトル通りと言うべきで、アップビートなギターやチャントがスカっぽい印象を与えるヘヴィーなダビー・アフロ・ディスコだ。Todd Terjeが手掛けた"Frisvold & Lindbaek meets Todd Terje Uptown"はよりダークな印象で、ごつごつとしたベースシンセとタイトな16分ハイハットがより均整の取れたグルーヴを導き、遠くでかすかに鳴らされるホーンがアフリカの亡霊を立ちのぼらせていく。Todd Terjeはさらにもうひとつ別のヴァージョンのリミックスを提供しており、こちらではオリジナルのさざ波のようなハンド・パーカッションと滑らかなコードを狂気じみたマン・マシーン・ファンクに仕立て上げている。コンガやシェイカーがエコーの霧のなかに溶け込んでいく終盤のクライマックスがとりわけ素晴らしい。
RA