Various Artists - Use Of Weapons 004

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  • Deep Space Orchestraが主宰するレーベル、Use Of Weapons4枚目のリリースは当レーベルにとっての初のコンピレーション作品だ。まずAサイドの1曲目を飾るのは、Instruments Of Raptureでおなじみの6th Borough ProjectことCraig Smith and The Revengeだ。ゆったりとしたテンポを刻む"Estranged Lover"は素朴なギター・ループを絡ませながら、徐々に深いところへと進んでいき、女声ヴォイスサンプルや威勢のよいチューバ・ベースを道連れにしていく。この太陽をたっぷりと浴びたヴァイヴは、Crime City DiscoからリリースされていたJosef Jaktmarkの"Breathless"が好きなリスナーは必ず反応するはず。 仮に6th Borough Projectのトラックが夏を表現しているとすると、Hakuが表現している季節は秋だ。ブラシ・スネアと曲がりくねったピアノをまとった"Rugo"はまさに枯れた葉がひらひらと舞い落ちるかのようなサウンド。そのトラックのデリケートなムードは、メランコリックなホーンによってさらに深みを増していく。あざやかなベースとシンセが織りなす秀逸なアレンジによって、じつに繊細なディティールにあふれたトラックに仕上がっている。 ぐっと粘り強さを増したAndy Ashの"Somehow"では、ヘヴィーにスイングするビーツにさまざまなヴィンテージ調のサンプルが貼付けられている。とはいっても、ディスコやファンクのサンプルではなく、古いラジオやコンサート、群衆のざわめきなどのサンプルを使っているあたりがおもしろい。基本的にはごくベーシックなタイプのフィルター・ハウスで、単音のパルス状シンセが耳をひく。最後に収録されているのはレーベル首脳陣によるプロジェクト、DSOの"Erase Everything"だ。じつに注意深くアレンジされたトラックでありながらも、ランダムに散らされたチープなシンセがどこか奇妙な印象を残す。ブリープやArpシンセ、太いベースがそこら中を跳ね回りながら演出されるダンスフロアらしい馬鹿っぽさはなかなか悪くない。明確で多様な個性がつめこまれたこのコンピレーションにはぴったりの締めくくりだと言えるだろう。
RA