Outboxx - Power Cruising

  • Share
  • ここ最近、とりわけUK国内においては「エレクトロニック・ミュージックのジャンル境界線が曖昧になっている」という論調が喧伝されている。とはいえ、ご心配なく。この作品にその論調をあてはめるつもりは毛頭ない。しかし、Outboxxのふたり、Matt LambertとJake Martin(彼らはHodge名義でも作品をリリースしている)は実に広い視野と耳をもって、太陽のような眩しさを持ったグルーヴィなディープハウスを手掛けていると言っていいだろう。"Through the Night"は穏やかなフェンダー・ローズがさざ波のように敷き詰められ、やがてトリッピーなシンセとNaomi Jeremyによる可憐な2ステップ・スタイルのヴォーカルが添えられると、そのサマー・ヴァイブは多幸感に満たされていく。"Power Cruising"ではここでもフェンダー・ローズのフレーズが存在感を示しているが、Outboxxの2人はそれらをよりジャジーに響かせ、スペーシーなブレイクを挟むとやがてキラーな重低音ベースラインが唸りを上げる。Outboxxはまさにオールドスクール・ファンクと真っ当なソウル感覚にベース・ヘヴィーな21世紀的ハウスを見事に融合させており、たとえばGeorge FitzGeraldのファンとGilles Petersonのファン、そのどちらにもアピールし得る資質を持ち合わせていると言えよう。
RA