Tim Xavier - Play On Words EP

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  • ベルリンManmade Masteringのチーフ・エンジニアも務めるTim XavierはRAにおける討論の場、Exchangeに登場し、その難解なマスタリング工程の短期集中講座を開いた。非常に示唆に富むディスカッションであったことはまちがいなく、個人的には3つの基礎的な要素を読み取った。つまり、マスタリングの目的とはまず第一にトラック自体のサウンドデザインを補強し、第二にそのミックスのバランスを調整し、第三にはそのサウンド全体を「少なくとも聴くに耐え得る」音質にまとめあげるということだ。当然だが、こうした一連の作業はXavier自身が手掛ける作品にも如実に反映されていると言うことができ、このEPに収められた2つのトラックからもその手腕の確かさをを感じ取ることができる。 両サイドともにドライヴ感溢れる筋肉質なグルーヴに対しタイトにフォーカスされているが、ただ単に分厚く音圧を稼いだだけのものではない。"Altostratus"でのスネアとハイハットは非常にコンパクトに配置されており、存在感の大きなベースラインにほとんど内包されてしまうほどである。特筆すべきは、繊細に描き出されたそのグルーヴのうねりであり、それらは点描的なリズムに対して凶暴な対比を見せている。全体的に見て、そのグルーヴに内包された揺れ動くような感触はMark Eによる昨年のアルバム『Stone Breaker』を思わせる理屈抜きの直感性を思い起こさせる。 いっぽう、タイトルトラックとなる"Play On Words"は"Altostratus"に比べるとやや内省的なムードを持っており、思わせぶりな展開がじわじわと続いていく。その構造はやはり複雑で、直線的かつ空間的だ。リヴァーブに浸されたディープなヴォイス(典型的でクラシックなテクノ的ピッチ・シフト)が意味性を消失させるほどに散らばっていくとともに、Xavierはそのグルーヴを点描的なファンクとでも言うべき境地に導いていく。ひんやりとした金属質のコードがその隙間を切り裂き、その電気仕掛けのアブストラクトさに調和と混乱を同時に巻き起こしながら、さらなるシンコペーションを強調していく。