Andras Toth - Would U?

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  • イリノイ出身の辣腕DJであるButaneことAndrew Rasseの鋭いセンスが常にそのリリース群に反映されるレーベル、Alphahouseはまさしく信頼に足る数少ないインディペンデント・テクノ・レーベルのひとつだと言うべきで、それはIon LudwigやFunzion、Franco Cinelliをはじめとした実に渋好みなトラックメイカーたちが名前を連ねるこのレーベルのバックカタログからも伝わってくるはず。 このAndras Tothは1985年ハンガリーのブダペスト生まれの才気漲る若いトラックメイカーであり、いまButaneとAlphahouseが最も力を入れてプッシュしているアーティストのひとり。Petre Inspirescuもプレイした2010年のデビュー作「Us」(とりわけA2に収録されていた"Marsalissa")で見せた早熟な天才ぶりが耳の早いDJやリスナーたちのあいだで静かな熱狂を引き起こしたのもまだまだ記憶に新しいところ。2011年初頭にリリースされたButaneとのコラボEP「Futures EP」を挟んで久し振りに届けられたToth自身2枚目となるこのソロEP「Would U?」において、彼はまたしても素晴らしい才能の片鱗を覗かせている。 アナログ・シンセのラフなレゾナンスを剥き出しにしたうえで疎らなビーツを散らし、ピッチダウンされた男性ヴォイスのスピーチを絡めたタイトルトラックA1"Would U"も非常にクールな出来映えだが、出色はやはりA2に収録された"Rosamonte"。ジャジーなピアノ・フレーズを緻密に組み合わせ、中低域に溜め込んだ4/4グルーヴと対比させるというごくシンプルなアイデアのもと作られたミニマルトラック・・・と文字にして書いてしまうと何とも味気ないもののように捉えかねないが、サンプルの扱いとカットアップの巧みさ、ザラっとしたテクスチャーのまとめ方などによって他のヨーロッパ産にありがちな単にジャズっぽいだけのトラックとはやはり一線を画した仕上がりになっている。このトラックだけに限った特徴というわけではないのだけれど、彼の創るトラックはラフなエッジを残してわざと未完成のままにとどめておいてあるあたり、DJツール然とした使用を想定した意図があってのものだろうが、こういったところも中々心憎い。 Bサイドの2曲、"Curious Feeling Of Calling Ft. Nermo & Anderz"と"Detroit Echo Tool"もAサイドほどのインパクトには欠けるものの、共に彼独特の水彩画のような色彩と優れたビーツ感覚に彩られた好トラック。
  • Tracklist
      A1 Would U? A2 Rosamonte B1 Curious Feeling Of Calling (feat Nermo & Anderz) B2 Detroit Echo Tool
RA