Fumiya Tanaka - I Can Tell You Of Course I Know It Was

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  • 田中フミヤ、Perlonでのソロとして初となる12インチ・リリース。 Aサイドに収録された"337"は田中フミヤ自身のblogでも明かされているとおり、2011年7月のCHAOSの時点からテストプレイを重ねられていたトラックであり、Bサイドの"I Can Tell You Of Course I Know It Was"もまた2011年の『WIRE 11 Compilation』のために制作された同タイトルのトラックに新たなリマスタリングを施したもの。両トラックのアプローチとしては彼がSundanceを立ち上げて以降、はたまたCHAOSで2度にわたって配布されてきたノベルティ・ヴァイナルなどを通じて一貫している、ミニマルで抑制された4/4グルーヴを基盤に緻密なレイヤリングを抜き差しするというアイデアを引きつづき継続したものとみていいだろう。 音楽という表現手段においては、サウンドそのものが向かおうとする展開と身体性が指向する方向性はかならずしも常時一致するものではないが、それらがぶつかり合う複合力場にこそ固有のグルーヴの強度が生まれると仮定した場合、田中フミヤが現在創り出そうとしている音楽はサウンドと身体性の両ベクトルが非常に高い次元でせめぎ合っている。それがとりわけ田中フミヤだけに限定された個性や作家性だと言うわけではないのだけれど、本当に優れたミニマルトラックの作り手(ここでは他にThomas Melchior、Baby Ford、Stephan Laubnerなどをひとまず例として挙げておこう)というものは、おしなべてそうした部分に意識的だし、田中フミヤもまたそうした資質を備えたアーティストであることはこの12インチに収められた2つのトラックを聴いただけでも直感的に理解できるはず。 それにしても冒頭のblogのなかで語られていた「キュウリにまつわるドラマ、キュウリにまつわるファンタジー・・・」のくだりにはあらためて度肝を抜かれた。かの田中小実昌の書く文章すら彷彿とさせる迂回の連続。やっぱりこの人の頭の中味、この人の考えていることはおもしろい。
  • Tracklist
      01. 337 02. I Can Tell You Of Course I Know It Was