- 進化し続けるアーティストが、さらに別のサウンドの一面を見せる
- TJ Hertzは止まることを知らない。デビュー当初より、発表するレコードはどれも過去からの脱却のように感じる内容だ。 これは最初、確立されたジャンルの間をくねくねと通り抜けるものだった。例えば、変異ダブステップの"Cactus"が、空にそびえるテクノ"CLK Recovery”の後に続いたように。だが最近では、完全に確立されたサウンドの先へと進んでおり、テンポ、ムード、リズムのスタイルの間を、彼の特徴的なサウンドパレットを駆使しながら漂っている。変わらないのは、その冷酷でキラリと輝く、アブストラクトなサウンドだけだ。新作LP『Cocoon Crush』は、彼のキャリアの中で最も分類不可能な作品だが、それは進行中の過程における最新ステージにすぎない。
HertzのDJスタイルもまた、一晩の中で絶えず変化していく。しばらくの間は、高速なテンポと角ばったリズムが共通のテーマのように感じるだろう。すると今度はテンポを完全に抑え、USBを駆使してBPM70から150まであらゆるスピードを取り入れたセットをプレイする。ある夜は幻覚的なセットかもしれないし、パーティーロッキングかもしれない。あるいはその両方かもしれない。また、彼はブログハウス(注)とドラムンベース両方への強いこだわりがある。彼の作品同様、フューチャリスティックな審美眼がそれらを一つに結び付け、そして完全に予測不可能となる。RA.650で、Hertzは自身のサウンドにおけるまた新たなオブスキュアな一面を見せてくれた。一定のビートによって錨を外された魅惑的なクラブトラック、あるいは、彼自身が“ノーキック・ローラー”と呼ぶサウンドだ。
注: 2000年代後半のロンドンやパリを中心に、ナイトクラブでのバンドのライブ終了後にDJたちがプレイしていたような、ロックからディスコ、エレクトロクラッシュのようなダンスミュージックまでを含む多様な音楽。当時ブログが音楽の流行発信地となっていたことに由来する。
TracklistLOFT - Filton (Disocciative edit)
SW. - Untitled B1
Shinichi Atobe - World 5
Der Zyklus - Eigenface (Facial Asymetry)
Population One - Lost In Space (Remixed)
Don't DJ - Gammellan
Thomas Brinkmann - LAS
Simon Haydo - Out
Thomas Brinkmann - NRT
Crossing Avenue - Lyra
QGB - You Can Steer Yourself Any Direction You Choose
PG Sounds - Sued 20 B2
Refracted - Depth Charge
ø [Phase] - Spacialize
Andres Zacco - Drum In
Sunareht - Super Suna Odyssey
Peder Mannerfelt - Breaking Pattern
Terrence Dixon - Self Portrait
Dynamo Dreesen, SVN & A Made Up Sound - Sessions 03 B2
Jeff Mills - No Trace
Burnt Friedman & Mohammad Reza Mortazavi - Yek 128-12
K. Leimer - Ikumi
Jules Venturini - Trace of Smoke
ø [Phase] - Mo-del
Jung An Tagen - 23:08 THIS WAS THE LAST MESSAGE
Quirke - Scratched Glue
Stanislav Tolkachev - Scar
Surgeon - Radiance
Umfang - Symbolic Use of Light
Karen Gwyer - Why Is There a Long Line in Front of the Factory
Barker - Cascade Effect
Ekoplekz - Quakers Road Skank