- テクノシーンを最も刺激するアーティストのひとりが登場
- 今年4月、Acronymとして知られるスウェーデン人アーティストDan Vicenteは自身初のインタビューを受けた。彼の答えは時に簡潔で、全部的に話をしたそうには見受けられないが、その会話内容からは、ここ最近の記憶の中でも最も人の心を打つテクノやアンビエントのうちのいくつかを生み出した、彼の音楽のバックストーリーが垣間見れた。Vicenteは10代の頃エクストリームメタルを聴いていたそうで、彼のテクノトラックに見られる際限なくうねり続ける中音のテクスチャはそこから説明がつくだろう。FluxionやBasic Channelといったダブテクノアクトもまた彼に影響を与えた存在で、彼の音楽が生み出す広大な瞑想的スペースにその感覚を聴くことができる。さらに、友人の自殺による悲しみ、彼と世界とを隔絶した鬱状態、気候の変化や周囲の環境状態による不安など、自身の作品に表れている様々な感情についても明かした。インタビュー中のこうした部分は、実に大きな意味をなしているのだ。Northern Electronicsからの初期作品から、先月自身の新レーベルStilla Tonから発表したEP「Burgundy」に至るまで、Vicenteの音楽からは驚くほどの感情の深さが感じられる。例えばファーストアルバムの収録曲"Mu 1”は、実存について考えさせられる、夜が明けていくようなアンビエントトラックだ。そして今年Semanticaからリリースされた"Planetary Boundaries”は、ダンスフロアにいながら自分の心の中で自分を見失ったような感情を引き起こす。
RA.634にはそうした感覚がたっぷりと含まれている。Vicenteはレコードとスタジオ機材、Abletonを使用してこの62分間のセッションを構築し、アンビエント、ハウス、テクノ、そしてブロークンビーツの要素を吸収した音の渦を創り出した。Vicenteはシンプルにこれを、「サイケデリック・ダンス・ミュージック」だと表現している。
Tracklist[Tracks that appear in the mix, in alphabetical order.]
Among Spoons - Organik Kayak
Anonymous - Untitled
Archetype - Learned Objects
Aural Expansion - Sonic Soil
Biosphere - The Eye Of The Cyclone
Cabanne - Digital
Chris McCormack - Longwave
Chris McCormack - Fishui
Cristian Vogel - Untitled
DHS - As High As It Can Go
El Turco Loco - 14 Amp
Fym - Science Realism
Marco Lenzi - Loop 2
Meat Beat Manifesto - Radiation Dub
Pan Sonic - Kone
Pan Sonic - Vaihtovirta
RezzQ - Hump Around
Samuli Kemppi - Välitila
Sketch - Arbitrary Patterns
Sketch - Inbetween Rocks And Highlands
Stewart Walker - Drive
Uzect Plaush - Discrete Global