RA.605 Chris SSG

  • Published
    Jan 1, 2018
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    240 MB
  • Length
    01:44:56
  • アンビエント
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  • ある一定の年齢層のテクノファンは、Chris HobsonのことをMNML SSGSの人間として知っているはずだ。MNML SSGSとは彼が2007年から2012年にかけて仲間と共に運営していた、影響力のあるブログである。彼と友人のSSG Peter Chanbersはそのブログを通して、アンビエント、エクスペリメンタル、そして日本のフェスティバルLabyrinth(同ブログの影響が助けとなり、Labyrinthは世界的に知られるようになった)で聴くことのできるような繊細でヒプノティックなテクノとのリッチな中間地点にある、ある特定のタイプのエレクトロニックミュージックの支持者となった。MNML SSGSは2012年の投稿を最後にブログ活動を休止したが、その後もHobsonがエレクトロニックミュージックにおける重要な発言者であることに変わりはなく、東京ではSound Gardenというチルアウトパーティーを共同主催し、アンビエントDJとしての道を歩んでいる。去年はDJとしてのHobsonにとって、いくらか躍進の年となり、ドイツのNachtdigital、台湾のOrganik、そしてアップステート・ニューヨークのSustain-Releaseといった、思慮に富んだフェスティバルへの出演を果たした。 適切なパーティーやフェスティバルにおいて、この音楽は間違いなく重要なものになり得、ピークタイムのセットと同じくらい多くのテンションとドラマを持ちながらも、ビート主体のダンスフロアサウンドとは完全に異なる体験を生み出すという、アンビエントファンたちはずっと前から知っていたであろうことを、Hobsonは上述のイベントや世界各地の現場を通して証明している。そして彼はRA.605で、同じ効果を体現してくれた。大部分が最近のアンビエントミュージックで構成された、リッチで恍惚としたこのミックスは、ゆっくりと2018年を迎えるのにぴったりだ。 まずは近況報告をお願いします。 個人的に激動の年となった2017年を振り返っていました。その中でも一つ、とてもポジティブな出来事だったのが、音楽面の活動がいい方向に進んだこと。初のヨーロッパ、USツアーを行い、素晴らしいフェスティバルの数々に出演し、DJとして進歩し続けられたと思います。 ミックスの制作環境について教えてください。 2017年になってからCDJでのプレイに切り替えましたが、このミックスに関しては、以前のセットアップであるTraktorとBabyface Proのインターフェース、それとコントローラーはAllen & HeathのXone:K1を使いました。日曜の午後に、東京の自宅でワンテイクで録りました。 ミックスのコンセプトについて教えてください。 このミックスでやりたかったことがいくつかありました。まずは、ちょうど2017年から抜け出したところなので、今回は昨年の音楽にフォーカスしようと思いました。ほとんどのトラックは過去12ヶ月間にリリースされたもので、数曲はそれ以前のものも入っていますが、2014年より前の曲は使っていません。また、これは2つ目の狙いにも関係していますが、今面白いことをやっているなと僕が感じるアーティストやレーベルを入れました。このトラックリストが、深くディグしていく人の出発点になるといいです。1曲だけ友人の未発表トラックを使っていますが、それ以外は簡単に入手できますし、探す価値のあるトラックばかりです。最後に、アンビエントミュージックのDJに対する僕のアプローチを正確に示すミックスを作りたかったんです。根本的にはコンテキストを一致させること。だから今回は、NYE後のリカバリー期間に合うミックスにしようと思いました。 あなたはアンビエントDJという珍しいタイプに属します。基本的なことをいくつか聞きますが、アンビエントDJにおけるテクニカルな面はどんな感じですか?どこでディグしますか?どのようにして“空間を読む”のですか?そして、MNML SSGSで紹介していたようなテクノよりも、アンビエントDJというパフォーマンススタイルに引き込まれた理由は何だったのでしょうか? アンビエントは、立ち上げ当初からMNML SSGSの中心にありました。僕たちにとってアンビエントとテクノは別物ではなく、同じ全体の一部なんです。初期の投稿のひとつではチルアウトルームの終焉を指摘しているし、最初のミックスはBvbdubにお願いしました。僕が東京に引っ越し、ブログが休止に近づいてきた頃、友人のDavidとJeromeと一緒にSound Gardenというイベントを立ち上げました。チルアウトスペースを復活させようと始めたものですが、アンビエントを聴かせるには何が良くて何がダメなのかを理解する上で、とても貴重な経験となりました。そして徐々に、自分が今やっていることに対する自分ならではのアプローチを発展させていったのです。 変に聞こえるかもしれませんが、基本的に僕がやろうといているのは、テクノのやり方でアンビエントをかけるということ。つまり、エネルギーを組み上げ、そして解放させたいということです。ただ素敵なBGMをかけるのではなく、パワフルな感情を生み、力強いレスポンスを引き起こしたい。僕は普通のベースラインやキックは使わないかもしれませんが、同じような作用を果たすトラックをいつも探しているので、緊張感と、その解放の瞬間を作り出すことは可能なんです。つまり、押しと引きの瞬間でコントラストを作り、セット全体の弧と流れについてしっかりと考えている、ということでもある。難しいのは、それをスタンダードなダンスフロアの構造の外で実現しなければならないこと、つまりビートをマッチさせる必要はほとんどありません。僕は普段、よりダイナミックレンジの広い、DJを前提に作られたものではないトラックを使っていますが、ボリュームの変化や静寂の時間が良い効果を発揮する、というアドバンテージもあります。 最近行った中で(あるいは出演した中で)、素晴らしいアンビエントステージがあったイベントは何かありましたか?それはどのように実現されていましたか? DJとして、そしてイベントのオーガナイズに携わっている人間として言えるのは、アンビエントミュージックがうまく作用しないシチュエーションというのは数多く存在するということです。とは言うものの、プロモーターたちが気付いている以上に、アンビエントにはもっとたくさんの可能性があると僕は思います。アンビエントは素晴らしいコントラストを生み出したり、いろんなサウンドのアーティストが最大限のインパクトを発揮できるスペースを作ることができます。例えば、高級レストランで10品のコース料理を頼んだとして、彼らはよく焼いたステーキを10皿出すなんてことしませんよね。でもどういうわけか、DJやオーガナイザーたちは、ずっと同じようなサウンドのテクノで構成された食事をノンストップで出すのが当然だと思っている。そうなるとアンビエントはどこに行ったらいいのでしょうか? 僕が出演した中で(アンビエントが)成功していた、3つの主なタイプのシチュエーションを紹介します。まずはイベントのオープニング。RuralとSustain-Releaseの2つのフェスティバルで、僕はメインステージのデイプログラムの最初のアクトを務めました。お客さんがゆっくりとスタートできるようにスペースを作り、その後に続くダンスフロアにフォーカスしたアーティストへの期待を促すようにプレイしました。2つ目は、その夜の最後の出番やイベントの流れが移り変わっていく瞬間という、より能力が試されるけど、やりがいのあるスロット。僕はそれをOrganikで経験しましたが、出番はSteve Bicknellの後の日の出の時間でした。耳の肥えたオーディエンスのおかげで、よりディープでよりパワフルなプレイをすることができたし、その後に再びビートが響き始めるまでの休息のような時間にすることができました。そして最後は、専用のチルアウトスペース。これがうまく働くには、まずその場所が騒音から守られていなければならない。そうでないと意味がなくなります。Nachtdigitalにはとても居心地の良いエリアがあって、そこでプレイするのは楽しかったです。コンテキストが何であれ、お客さんが座れる、もしくは何らかの形で休憩できるかどうかで、大きな違いがあります。ビートのない音楽を長時間立ったままで聴いているのはなかなか疲れるもので、人々の集中力の妨げになる可能性さえあります。 今後の予定を教えて下さい。 前向きな雰囲気で2018年を始められることをとても嬉しく思います。年越しはFuture Terrorに出演し、このポッドキャストも公開されました。でも、新しい年にはなりましたが、残念ながら人生が一新されるわけではないので、まだ片付けなければならない大きなこともいくつかあります。音楽面では、今までやってきたことをこれからも続けるのみです。DJのアプローチに磨きをかけ、人々に新しいサウンドを紹介する機会を逃さず、たまにはエレクトロニックミュージックの批評をし、そして日本のシーンや僕が信じているアーティストたちに対して僕ができる限りのサポートをする。今回僕を誘ってくれたRAに感謝します。皆さんにとって素晴らしい2018年になりますように。
  • Tracklist
      Imaginary Softwoods - Aura Show [Time to Express] Steve Good - Refracted Light [self-released] SKY H1 – Huit [PAN] Loke Rahbek & Frederik Valentin - You Come With [Editions Mego] Acronym - The Final Decision [Field Records] Yko – Kuuki [unreleased] Tarotplane - A Tab In The Ozone [Lullabies for Insomniacs] Black Zone Myth - Chant feng jing [Editions Gravats] Laraaji - Space (Motion Sickness of Time Travel Version) [All Saints] Ryuichi Sakamoto - Life, Life [Commmons] Carmen Villain - Planetarium (Gigi Masin Alternate Version) [Smalltown Supersound] Jon Brooks – Lanverec [Clay Pipe Music] Cosmic Neman – ProximaB [Tigersushi Records] Hypox1a - Hidden Conduct [Make Noise Records] Ligovskoï – Lethe [Dement3d Records] Alessandro Cortini – Perdere [The Point Of Departure Recording Company] Vanligt Folk – NIPT [iDEAL Recordings] Marie Davidson - Vie et mort d'un égo [Weyrd Son Records] Kurt Baggaley - Remembering Infinity [Something Happening, Somewhere] HOLOVR - Mind Movement [Emotional Response] Earlham Mystics – Truth [Notown Records] Kyle Landstra - Holding Steadfast in the River of Peace [Oxtail Recordings] Jonathan Fitoussi – Perspectives [Pan European Recording] David Edren - Dance Of The Codariocalyx [Earth.Rope.Pot.Plant] Caterina Barbieri - Information Needed to Create an Entire Body [Important Records] Voiski - MEL SYD [Super 95] Ian William Craig - Arrive, Arrive (live) [Recital Program]
RA