• Published
    Dec 12, 2016
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    131 MB
  • Length
    00:56:56
  • オークランド出身アーティストによる極上ハウス&テクノミックス
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  • ハウスやテクノには実験性が欠けていると嘆いているなら、AYBEEと彼のレーベルDeepblak Recordingsをチェックしてみてほしい。オークランド出身の彼が過去15年間にわたって制作・発表してきたハウスミュージックは、ゆるやかながらも効果的に既存のルールを打ち破ってきた。昨年、Armon Bazile(AYBEE)は「Deepblakの音楽を聞いてもらえば、実験が中心になっていると分かるよ。俺たちはいつも追求と前進を続けている。唯一それが一貫していることだね」とInnateに対して語っている(英語サイト)。Bazileの場合、非常にストレートな内容のトラックであったとしても、そこには自由奔放なエネルギーが溢れている。先日、彼が発表したアルバム『The Odyssey』では、"Push Pull"や"Asteroid Lust"といったダンスフロア仕様のトラックですら不規則なリズムが刻まれている他、"Ark"や"Build Them"などは完全に実験へ振り切った内容となっている。Bazileが最も突き詰めた音楽を展開するのは、Afrikan SciencesことEric Douglas Porterと一緒に制作しているときが多い。彼はふたりの制作関係について「音の反逆」と説明しているが、例えば、Miles Davisにインスパイアされた『Sketches Of Space』のような作品を聞けば、その意味がハッキリと分かるはずだ。なにしろ、ふたりが機材と一体になってワイルドに暴れているのだから。 とはいえ、Bazileはダンスフロアのニーズを無視しているわけではない。ベルリンのBerghainやTresorといったクラブへ定期的に出演している彼がプッシュしているのは、Fred PやDJ Quと同系統に位置する、みずみずしくもざらついたサウンドだ。RA.550はDJとレーベル主宰者の両面で彼らしさが表れたミックスだ。自ら築き上げてきた特異な音楽世界が余すことなく描き出されている。 近況報告をお願いします ずっと新曲の制作をしている。冬の作業量にも慣れてきたよ。冬場はいろんなことにのめり込むようにしていて、作業量が増えるんだ。外に出かけたくなる天気にならないから、制作に集中できるんだよ。新しい機材をいじっていろいろと試したり、春に向けてレーベルのリリースの準備をしたりね。自分の技を全体的に磨き上げるんだ。 今回の制作環境を教えて下さい ベルリンのIPSEでレコーディングした。場所を使わせてくれたDamianには感謝している。セッティングは普通に、ターンテーブル2台、CDJ2台、Pioneerのミキサー。あと、Kaoss KP3+を使ったよ。 今回のミックスでは何を意識しましたか? 名刺代わりになるミックスにしたかった。「ところで君ってだれだっけ?」って聞かれることが多いから、俺の経歴を全くしらない人がいたときに自分のことを音楽で伝えるとしたら? って考えたんだ。だからこのミックスは自己紹介になるものだと思っている。あとアメリカを再び偉大にするために、このミックスを通じてスタンディングロックの先住民にエネルギーを送りたかった。 2016年は個人的にどんな年でしたか? 例年通り、いいことも悪いこともあった。今年は本当にいろんなことがあったね。世の中からいろんなことを学んだ。多くの人にとって2016年は感情面でもクリエイティブ面でもぶっ飛んだ1年だった。今年の夏、Deepblakのアーティストで友達でもあるDerrick Curtis(aka DFLN(Dreams From Last Night))が不慮の死を迎えてしまって、ものすごくショックを受けたんだ。俺にとってDerrickはレーベルから生まれた"赤ん坊"だった。あいつがレーベルのすべてを物語っていたんだ。それに、俺たちへインスピレーションを与えてくれた存在だった。Derrickのことを知らない人は多かったけど、あいつはビートシーンで旋風を巻き起こしていた。Derrickの音楽を多くの人に紹介できてすごくうれしかった。Afrikan Sciencesや俺自身もDFLNの能力にはただただ脱帽だったよ。あいつは俺たちの行き先を示してくれていたんだ。発射台で飛び立とうとしているロケットみたいに、これからの存在だった。それなのに急にいなくなってしまって、俺は途方に暮れるしかなかった。何日も星を見上げていたよ。どうしようにもないのにな。 そこから立ち直れたのには理由がある。9月に結婚したんだ。パートナーはこれまでも素晴らしい存在だった。神様にも劣らない人だ。幸せの絶頂だね。それで正気に戻れたんだ。だから今年、得たものもあれば失ったものもがある中、俺が気を付けていたのは、上手くバランスを取ってクリエイティヴな感覚が停滞しないようにすることだった。 何事もなく来年を迎えられたらいいのに、と思うこともあったよ。先週、地元の火事で失われた仲間たちのことを考えるといたたまれないね。オークランドは、この10年でクラブミュージックのシーンが築かれていて、すごく調子がよかった。俺はみんながいた場所へ行ったことがあるんだ。ガレージや地下室、DJを聞いてくれる人が5~10人でもいるならどこへでも行っていた。レコードでDJしたり、機材を鳴らしたりするのが楽しかった。どれも友達が10人程度しかいないような場所だよ。純粋に好きだったんだよ。サウンドシステムを持っていってさ。商売とかじゃなくて、純粋に楽しむんだ。それで現場についてもみんなはこっちを見ているだけってときもあったよ。肩をすくめたり笑ったりしながら、イベントの終わりに20ドルを渡してくれることもあった。 中心街でもそんな規模だったんだ。それでもオークランドのみんなはシーンを作っていこうとしていた。そうしないとダメな環境だったんだ。誰も面倒をみてくれなんかしない。やるかどうかは自分次第。だから、みんながあんなふうに亡くなってしまって、心が痛むよ。良い感じになっていこうとしているときに亡くなってしまったんだ。つらいね。世界中のみんながオークランドへ寄せてくれた気持ちには感動したね。事件後でまだ落ち着いていないけど、ポジティブなアクションが生まれている気がする。 今年、特に気に入っているレコードを教えて下さい。 Tommaso Cappellato - 『Aforemention』(Mashi Beats) 親友のAfrikan Sciencesに教えてもらったんだ。今年聞いた中で特に極寒のアルバムだね。Mark De Clive-LoweがLAでやっているレーベルMashi Beatsからリリースされている。ドラマーのTommaso Cappellatoがジャズ・フュージョンとテクノの要素を見事に混ぜ合わせているんだ。将来、音楽好きな人たちがずっと探し続ける1枚になるんじゃないかな。 Damon Bell - 「Altered Visions」(Meda Fury) 実を言うと、Damon BellはDeepblakのレーベルメイトなんだ。今年は素晴らしいEPを3枚出していて、1枚はDon't Be Afraidから、もう1枚はBurekから。最後に出たのが、このMeda Furyからの「Altered Visions」だった。これまでで特に素晴らしいレコードなんじゃないかな。Deepblakのメンバーでオークランドに残って活動しているのはDamonだけになってしまったけど、アフリカンミュージックとジャズを土台にしたリズムを混ぜ合わせて、そこへダンスフロアの感覚を融合した音楽を作りながら頑張ってやっているよ。Damonのサンプリングにはすごいといつも思わされる。"Akebu-Lan"の中盤のアレンジを聞くたびにニヤリとしちゃうんだよな。すごいエネルギーで展開していくんだ。 Thundercat - 『The Beyond/Where The Giants Roam』(Brainfeeder) このアルバムを聞けば、トリニダード植民地時代の住人だろうが、B13だろうが、ぶっ飛ばされちゃうね。 今後の予定を教えてください 今年の残りの公演に向けて準備をするよ。あと、ピアノを左手で弾けるように練習する。それと、トイレの便座を下ろすのを忘れないようにしないと。
  • Tracklist
      San Juan Pueblo (Tewa) Butterfly Dance Gael Segalen - Ascension Billy Cobham - Inner Conflicts DFLN - Signs Captian P. - Escapism Pied Plat - Ode To Ede The Bazile Republic - Brotherhood Smoke Damon Bell - Land Of Merowe AYBEE - We Come In Peace AYBEE - Man Over Machine Walt J - Reborn 1 (DJ Qu's Journey Towards Birth Remix) Glenn Underground - Black Action Roy Ayers - Holiday (Kenny Dope Rmx) Jaco Pastorious - John and Mary Ron Trent - Hooked On Your Love
RA