RA.477 Jane Fitz

  • Published
    20 Jul 2015
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    233 MB
  • Length
    01:41:38
  • ロンドンのセレクターによる高尚なリズム
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  • 去年Hyponikに掲載されたインタビューにて、自身のパーティー、Night Movesについて訊かれたとき、Jane Fitzはサラッと面白いことを言っていた。「目立ちたく無いから、あまり頻繁に開催する予定はないの」。以下のインタビューでは、その点についてより詳しく語ってくれている。「(Night Movesは)外的な圧力に左右されるパーティーではないわ。私たちはイケてるって思われたいとか、お金を儲けたいとか、認められたいって思っていないの」。この考え方は、Fitzの理念の芯であるようだ。かれこれ20年の間、彼女はスポットライトを避け、(90年代半ばに住んでいた)香港から(現在レジデントを務めている)Freerotation、そしてロンドンの数々の小さなクラブまで、あちこちでコツコツとDJ活動を重ねて来た。そしてロンドンで彼女はNight MovesをJade Seatleと共に主催しており、ふたりはときにデイタイムのパーティーもやっており、こちらはもちろん、Day Movesと呼ばれている。 さて、彼女のDJスタイルはと言うと、長年の献身的な活動でのみ培うことができる個性に富んでいる。騒々しいアシッドであろうが、穏やかなアンビエントであろうが、彼女がスピンするセットは非の打ち所がない選曲と滑らかなパフォーマンスが特徴だ。今回のRA.477は、躍動的で優美なハウスを繋げてゆくFitzの熟達したスタイルがたっぷりと堪能できる、1時間40分になっている。 まずは近況報告をお願いします ここ数ヶ月は海外に行ったり、DJをしたり、大好きな人達と遊んでいたわ。ちょっとしたノマド的な生活をエンジョイしていた。最近、バルカン半島で車旅行をしたの。ベオグラードと、ブルガリアのMeadows In The Mountainsフェス、そしてモンテネグロでギグがあったから、その間を車で移動する旅行にしたら最高だと思ったの。素晴らしかったわ。素敵な友達と一緒だったし、その地域の友人と再会したし、ボートとか山とかビーチでDJさせてもらった。そしてFreerotationに合わせて戻って来た。パーフェクトね。 ミックスの制作環境を教えてください 家に来た人皆が最悪だと言う、私の愛機Vestaxと、音が素敵な中古のFormula Soundのミキサーを使って、ロンドンの自宅で録音したわ。針を交換する時間がとれなかったのがちょっと残念。この前、ツアーの合間に空いた数日の休みのときに録った。もう半年前からずっとやるやるって言っていながらやってなくて、それがどんどん重荷になっていた。Freerotationの前には絶対に終わらせたかったの。 ミックスのコンセプトについて教えてください 2月からこのミックスのことを考え始めて、入れたい曲をメモしていた。最初のテイクは悪く無かったけど、配線が駄目で音が片方から聞こえなかった。2回目のテイクはヘヴィだった。でも私のことをよく知っていて私の最近のセットをよく聴いてくれている人に聴かせたら、私らしさが少なくて、ちょっと男っぽいっていわれた。改めて聞き返したら確かに、って思ったわ。 それで3回目に録ったのが今回のミックス。使ったレコードの1/3は最近のバルカン半島ツアーのレコードバッグから引っ張って来たもので、もうひとつの1/3ぐらいはメモしていた曲で、残りはその場で選んで決めたレコード。やってみて、もっと過激なところまで行っても良かったかもって思った。DJするときは結構変なものもかけるからね。でも、最近はまた結構ディープなものをかけているから、その感じは入れたかった。あといつまでも色褪せない曲を入れたくて、15年ぐらいかけ続けている曲も入れてみた。今聴いてもやっぱり最高だし、私のDJの進化を見せる意味でも、最近の曲と合うものを選んで入れたわ。 あなたがJade Seatleと共に主催しているNight Movesについて教えてください。どういった特徴のあるパーティーですか? 良い客層と自由なヴァイブスで溢れてる。イベントを始めて以来、まぎれも無いコミュニティに成長したわ。お客さんは最高な人達ばかり。始めた当初は、とにかく常連を増やすことに専念した。お客さんたちと一体となったものを作り上げたかったし、毎回開催を楽しみにしてくれるようなイベントにしようと努力した。今では私たちの期待を大きく上回ることになってくれたわ。Night Movesに来てくれる人達は私たちを信頼してくれるから、まったくプレッシャーはない。私たちがブッキングしたい人をブッキングできるから、お客さん側も、もし知らないDJでも間違いないプレイが期待できることを解ってくれている。そういった自由のあるパーティーってあまりないし、私たちの場合は意図的にそうしたんだけど、それが実現できていることがありがたいわ。 内容は毎回いろいろ試していて、私たちが一緒にDJするときもあれば、私がオープンをやったり、後半4時間をやったり、そのときによってバラバラ。私はフリー・パーティーとか、野外のサウンドシステム、昔のロンドンのテックハウスのシーン、サイトランスのパーティー、暑苦しいジャズ・ダンス、90年代半ばのアジアのパーティー・シーンとか、そういった自由奔放で、ヘッドライナーのDJよりも音楽とか楽しい時間を過ごすことにフォーカスしたパーティー・シーンで育ったから、そういった経験がNight Movesのベースになってる。1年の間に数回しか行わないけど、全国各地や海外から人が来てくれてる。でもあまり大々的に宣伝しないから、まだ数百人規模なんだけど、Freerotationの客層とか出演者陣と被ってる部分もある。スペシャルな人々が、スペシャルなパーティーにしてくれているわ。 ロンドンで雰囲気の良い親密なパーティーをやることは、どんどんと難しくなっていることが想像できます。それでも続けるモチベーションは? 自由、音楽、人々。そして人々を楽しませて、居心地良くすることへの純粋な献身の気持ち。お金は重要じゃないっていうプロモーターは多いけど、結局彼らも裏では誰が一番客を集められるかって考えながらブッキングしているわ。私たちは違う。確かにロンドンはお金がかかるし、良い会場を見つけるのも難しいし、都会だけど、それでも自分のやりたいようにやるチャンスはいくらでもある。ただ勇敢に、そしてクリエイティブにやるしかないわ。 ハックニーから北西ロンドンに会場を移した理由もそれなの。誰もそこでパーティーをやってないから、人にわざわざそこまで来てもらうには、良いものを作っているっていう自信がないとできない(東ロンドンが中心になる7年前までは、パーティーは基本そうだったんだけど)。だから外的な圧力に左右されるパーティーではないわ。私たちはイケてるって思われたいとか、お金を儲けたいとか、認められたいって思っていないの。そして経済的な義務とか評判がないってことは、流行とは関係なくて、そのおかげでパーティーが小規模で親密になっている。私たちは、私たちが育ったこの街の良い人々に、良い時間を過ごしてもらおうとしているだけ。それがパーティーのあるべき姿だと思う。それを純粋にモチベーションとしてやっているなら、簡単なことだと思うわ。 あなたには独自の磨き上げられた音楽性があり、沢山ミステリアスなレコードをかけます。新しい音楽はどうやって見つけていますか? そう言われると不思議なんだけど、個人的には、その場所とその時の気分によって、私のDJは色々な方向に進むと思ってるわ。でも、ディープでもレイヴィーでも、テクノ、アンビエント、ソウル、ディスコでも何でも、私がかけているものには常に私らしさが現れていたらいいなって思ってる。新しいレコードを見つけるのは簡単だけど、時間がかかる。世の中にはまだまだ出会っていない面白い音楽が山ほどあるわ。そして沢山が、意外にも目の前にあったりする。私は飽きっぽいから、つねにフレッシュなものを探していて、ネット上でも沢山音楽をきいてるし、レコード屋にも足を運んでる。 Discogsも使うわ。安いものをまとめて買って、お気に入りの売り手をよくチェックしている。海外に行く時はいつもレコード屋の安い箱にまっすぐに向かうし、たいていはダンスミュージックを専門に扱っていない店に行ってる。私が買いたくなるレコードはグルーヴ、ベースライン、変な音、空気感で良いと思ったのとか、あるいはドラマ感とか意外な展開のあるものね。アーティストが誰とかレーベルがどことか、レア度や市場の価値はまったく気にしない。あと、自分のレコードコレクションを改めて見直すこともよくやってる。その行為自体にインスピレーションをもらっていたりするの。ホント、15年ぶりに聴くB面に意外な発見があったときの気分は何ものにも替えられない。 今後の予定は? もっと世界を巡って、仕事をして、冒険をする予定。今は日本行きの飛行機の中でこの返事を書いているの。今週末Ruralでプレイするわ。アンビエントからストレンジなハウス、そしてアーシーなトライバル・リズムまでを野外でかけるつもりだから、とてもワクワクしてる。その後は大好きな人達と旅行を楽しむつもり。ロンドンに戻ってからは、季刊誌の編集をして、Kristina Recordsのカウンターの向こうにいるわ。 あとは秋までに何回かDay Movesをやりたいって考えていて、それからField ManeuversフェスでField Movesテントを主催して、ベルリンのAudio Farm Festivalに出演して、そのあとまた日本でプレイして、The Labyrinthに行くわ。それからは、秋にはロンドンのGolden PudelでNight Movesを開催しようと思っていて、新しく雇ったエージェントと今他にプレイしたい面白い場所を探している所。あとDomとスタジオでInvisible Mendersの作品を制作してる。Boe Recordingsと、友人のCarlの新興レーベル、Animals On Psychedelicsから近々リリースがあるわ。あ、あと新しいラジオ番組も始まるの。だからそうね、たいして何もないわ。