RA.458 Edward

  • Published
    Mar 9, 2015
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    101 MB
  • Length
    00:44:00
  • ダンスフロアの向こう側へ
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  • Edward名義で活躍するベルリンのDJ、Gilles Aikenは、妖しい、夢幻的なクラブ・トラックで知られる。彼の最新のアルバム、『Into A Better Future』は主にハウスやテクノの枠組みに収まっていたものの、Brian EnoやRobert Fripp、そしてConnie Plankのようなクラウトロック・アーティストの影響の片鱗が窺えるものであった。Aikenは鋭いグルーヴ・センスの持ち主であり、それは"Skating Beats"といったトラックや、彼のDJセットが良く表していることだが、同時に、彼の楽曲には宇宙のような広がりがある。この組み合わせが評価され、彼は今やベルリンのWHITEや、ヴァイマルの人気クルー、Gieglingの重要人物として注目を集める存在になった。 『Into A Better Future』の制作中、サンプリング・ネタやインスピレーションを求めて、Aikenは膨大な量の古いレコードを聴いていたという。そしてその間、彼は半分無意識に、そういったレコードでミックスを作り上げていた。こうして出来た今回のRA.458は、Aikenの音楽の表面下に漂う、サイケデリックな煙霧の中を彷徨う音楽旅である。 近況報告をお願いします 最近は沢山リミックスを作っているんだ。元々、あまりリミックスをやるほうではなかったんだけど、長いこと自分のアルバムの制作をしていたから、他のアーティストの音源を使うのは良い気分転換になってるんだ。最初に出るのはHivern Discから、MAOKのリミックス2曲だ。 DJに関しては、最近は親しい友人でありパートナーであるOskar Offermannと良くプレイしている。ようやく俺たちのバックトゥーバックのセットに注目してもらえるようになって、とても嬉しいよ。2人でこれだけ素晴らしい場所に行けて、言葉にできないほど素晴らしい体験をすることができてありがたい。 ミックスの制作環境を教えてください このミックスのアイディアは、実はアルバムの制作中に思いついたんだ。俺の曲はサンプリングで出来ている部分が大きい。だからレコードをじっくり聴いて、録音して、ネタを整理するという行為は、制作プロセスの中で重要なことなんだ。これをやってると心が落ち着くし、インスピレーションがもらえるし、とても大事なプロセスなんだ。それで、アルバムを出した後、サンプリングで使用した曲や、インスピレーションになった曲を改めて聴いた。それをエディットして新しい曲を作ったり、ミックス用に曲の中盤を引き伸ばしたりしたんだ。それを自分のスタジオで、ターンテーブルとCDプレイヤーを使って普通のDJミックスのように繋げたんだ。 このミックスは、あなたの楽曲の表面下にあるサウンドへと深く潜ったようなものだと思いました。こういった音楽(アンビエント、クラウトロック、サイケデリックなど)に興味を持ったきっかけは? ジャンルはそんなに意識していないんだ。反復している部分や、アンビエントな部分のある曲に惹かれるんだ。アンビエントやクラウトロックのジャンルに属する楽曲である必要はない。こういった部分はどんなジャンルの曲でもあるんだ。ジャズでも、ディスコでも、なんでもね。Phillip Glassによる作品だって、ディスコの曲と同じくらい、反復を通してスピリチュアルなエネルギーを発することは可能なんだ。例えば、Silvesterの"Over and Over"とか。ミックスには沢山パーカッシヴな音楽も入ってるけど、もちろんそういったものにも影響を受けている。 あと、Conny Plankのリミックスをやった経験は、俺のクリエイティビティに大きく影響を与えた。彼はクラウトロック時代の伝説のドイツ人プロデューサーで、リミックスのために彼の曲のオリジナル・テープ音源から録音されたステムを沢山もらった。この音源をサンプル・ネタとして整理することに相当時間をかけたよ。この素材で3ヶ月ぐらい作業をしていた。ステムをひとつにまとめて原曲を再現したりしているうちに、新しいサンプリングの仕方を発見したりして、とても勉強になった。言葉で説明するのが難しいんだが、とにかくこの時期相当成長できたと思う。それまで以上に、その時代の音楽に没頭するようになった。このアルバムと、このミックスはその2年後に完成させたものだから、その成長が現れているだろう。 あなたはGieglingから出た、コア・メンバー以外の最初のアーティストです。彼らとはどのようにして関わるようになったのですか? 音楽を通じて、ずっと前に仲良くなったんだ。ベルリンで違法野外パーティーをやった時、Kettenkaruselを招いたんだ。彼らはとてもポジティブなヴァイブスの素晴らしいロングセットを披露してくれた。あの時点ですでにGieglingの魔法を感じることができたよ。彼らがレーベルをスタートしたとき、Oskarと俺はヴァイマルによく遊びに行っていた。DJをしにいくわけではなくて、ただハングアウトして一緒に音楽を聴いていた。Gieglingでは、想像もつかないほど多くの人々が舞台裏で動いているんだ。徐々にその中の多くの人達と仲良くなっていった。嬉しいことに、彼らに俺の音楽も気に入ってもらえた。自分でも解らない何かを、彼らは感じ取ってくれるようだ。そして俺の音楽を更なる異次元へとプッシュしてくれるんだ。 今後の予定は? 夏が本当に楽しみだ!プレイしたいフェスやイベントが沢山ある。あと、家族となるべく時間を過ごせたらと思っているし、新曲も作りたいね。WHITEとGieglingから新EPも出したい。 あとは、よりエクスペリメンタルでアトモスフェリックなライブセットを今練っている所なんだ。通常のライブアクトよりは長い尺を必要とするセットで、ピークタイム向けではない、夜の始まりに相応しいものなんだ。ごくたまに、特別な機会にプレイできたらと思ってる。 あと、もうひとつプッシュしたいプロジェクトがある。だから今年、時間の管理がとても難しくなりそうだ。しかし今の状況にはとても感謝しているし、きっちりプランを立ててしまうつもりはない。今回、俺が影響を受けた音楽をちょっとだけ紹介する場を与えてくれてありがとう。とても嬉しいよ。そして、わざわざ聴いてくれる皆さん、ありがとう!
RA