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RA.362 Kyle Hall

Published
May 6, 2013
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52 MB
Length
00:45:38

飾り気の無い、温かい音像
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Kyle Hallという名前が明記されたレコードスリーブが最初に店頭に並んだのは2007年、彼が17歳の頃だ。Rick Wilhite、Mike Huckaby、Omar-Sといったデトロイトのベテラン勢の元で学んだ後、彼はOmar-SのFXHEから初の12インチを発売した。Hallはアナログ機材を用いた即興演奏を得意とし、ハウスがベースの自在なスタイルを持つ。最近はFunkineven、Kero、MGUNといったアーティストとのコラボも行っており、以下で語っているように今後も続けるつもりだそうだ。先週、Hallにとって記念すべきファーストアルバムである『The Boat Party』が、自身のレーベルWild Oatsから発売した。飾り気の無い硬派なドラムマシン・ワークとローファイなシンセの音色は間違いなくKyle Hallらしいが、収録された8曲は多種多様な音像を呈していた。躍動感溢れるゲットーハウストラック、"Finnapop"が特に良い例だ。今回のRAのミックスを、Hallは「Be Kind Rewind(巻き戻して下さい)」(註：レンタルビテオ店のVHSに良く書いてあった注意書き)と名付けた。「心地良い歪み」を求め、ミックスをアナログテープに直接録音したからだ。Funkineven、MGUNやHall自身の新曲も含んでおり、Hall特有の粗さ、温かさで全体が包まれたミックスになっている。 まずは近況報告をお願いします アルバムが出たばかりだから、最近はツアーをしていて、ヨーロッパを回っているよ。後は制作やコラボレーションをしたり、レコードや機材を買ったり。 制作環境について教えて下さい デトロイトの自宅でタンテ2台、CDJ2台、DJミキサーとBossのRV5リバーブペダルを使った。心地良い歪みを得るためにカセットテープに録音したんだ。 ミックスのコンセプトについて教えて下さい 今俺がハマってるサウンドや、俺の新曲、そして近いものを感じる仲間たちの新曲なんかを皆と共有する事が目的だったんだ。テープに録音した理由は、今回ミックスに入れた楽曲の多くは、まだテープが主流だった時代のフィーリングを体現してる気がしたからなんだ。あと、単純にテープのサチュレーションが好きなんだ。だから、「Be Kind Rewind」と名付けた。始まりと、中盤と、終わりに声ネタをいれてストーリー性も持たせてみたんだ。全体的に素朴で面白いものになったと思うし、今の俺の音楽的観点を表している。 アルバムのタイトルとジャケットにはいったいどういった意味が込められているのですか？ ニューアルバムのタイトル『The Boat Party』とアートワークは、今の時代の大量消費、過剰な贅沢に苦言を呈しているんだ。これは、科学技術の進歩と共に悪化している事だと思う。今日、我々はいかに欲しい物を購入して、素早く物事をこなすかに全神経を集中させている。その過程で、多くの問題や廃棄物を産んでしまっていて、この惑星で暮らすことがどんどん困難になってきている。あと、最近ヨーロッパで盛り上がってるボートパーティのブームとか、アメリカなんかでやたらもてはやされてるEDMを茶化しているんだ。大規模なスタジアムイベント、フェス、ツアーなんが世界各地で増えていて、音楽への向き合い方も変わってきている。そんな現状に対する俺なりの返答を音楽で表現したのがこのアルバムなんだ。 最近あなたはより飾り気の無い、ローファイなアプローチを追求しているように思いますが、ご自身でもそう感じますか？ ああ、そうだね。しかし、それは始めから自分の中で求めていた物だったんだ。もしかしたら最近よりその傾向が強くなったのかもしれない。昔から生々しいrawなサウンドが好きなんだ！ 今後の予定は？ もっと音楽を世に出していくつもりさ。もっとコラボして、もっとアナログを出して、もっと面白い人々と、もっと面白い場所へ。
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