• Published
    Apr 16, 2012
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    51 MB
  • Length
    00:44:44
  • 架空映画のサウンドトラック
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  • ここ数年間で数多くのUKベース・プロデューサーが登場している中、Felix Manuelの特筆すべき点は何だろうか?少なくとも、「Mountains」ほど素晴らしいEPを世に送り出したプロデューサーは殆どいない、ということだけは確かだ。2010年に2nd Drop Recordsから発表された4曲を聴けば分かることだが、Felixは驚くほどスキルフルなサンプル使いで、ヒップホップからダブステップ、テクノ、そしてガバまでを1つのリッチで劇的な作品へとまとめあげてしまう。ガバ?そう、ハードコア・テクノの一つでもある、あのガバだ。彼はSub.fmを拠点にするYardcoreクルーのメンバーとして、ブレイクコア、ゲットーテック、ドラムンベースといったクラブ・ミュージックの中でもクイックなサウンドに慣れ親しんできた1人だが、その一方で幅広いDJスタイルを見せつけてくれている。その中でもジャズは、特に彼のプロダクションにおいて欠かせない存在だ。そしてOn The Edgeや、Smokin' Sessions、そして2nd Dropから発表された12インチでは、クラシック・ミュージックや映画のサントラが絶妙にサンプリングされており、彼のプロダクションにとって、サンプリングは必要不可欠な存在だということが見受けられるだろう。 そんな彼がRA.307を作る題材として選んだのは、サントラだ。Felixは“架空の映画のサウンドトラック”を作ったのだが、ダンス・フロアーのイメージを一掃したというそのミックスには、Chris Watson, Herbie Hancock, Untold, Marcel Dettmann、そして自身の作品を収録している。 最近の活動は、どんな感じですか? 仕事と引っ越しで忙しいよ。レコードのコレクションもごちゃごちゃで大変なんだけど、新しい家に引っ越すから、整理するのが待ちきれないよ。 このミックスの制作環境について教えてください。 サウス・ロンドンの自宅で、Ableton Liveを使ってライブミックスをレコーディングした。それから数週間かけて、ミックスのチョッピングや、サンプルの追加といった作業をしたんだ。それを再びミックスしなおしてから、フィルムのサンプリングをして、フィールドレコーディングした音源も追加した。価値のあるミックスに仕上げたかったんだ。ライブセットでは作ることの出来ないものにしたくて。フォーク・ソングからテクノへの移動を緻密な作業を行なって、きちんとしたものに仕上げたかったんだ。 このミックスについて、何か特別なアイディアがあれば教えてください。 一言で言えば、架空の映画のために手がけたサウンド・トラックだね。普段クラブで作るようなセットではなく、自分の作品として特別なシーンを組みたかったんだ。元々テレビ番組や、映画から発信される音楽から物凄く影響を受けたこともあって、こういう形にした。今回のアプローチをする事で、自由な発想を得ることが出来た。選曲とテクニカルな面で、ダンスフロアーでは出来ないようなミックスが作れたと思う。 ポッドキャストのように時間を取って作るミックスと、クラウドを目の前にしたライブ・ミックスには大きな違いがあって、前者では、よりタイムレスなセットが作れるんだ。クラブのように、場所や、時間、雰囲気から反映されたセットではないんだ。雰囲気自体を、ゼロの状態から生み出すといったらいいのかもしれない。最新のダブプレートや、今時なサウンドにフォーカスを置いてしまうと"今っぽい"ミックスしか作れない。聴いている人が、iPodの中にずっと保存してくれるようなものにしたかったんだ。そういう意味でも、60年代から現在の作品まで幅広く収録している。今まで聴いた事が無い、と思われるような作品に仕上がっていると良いけど。 あなたの以前のDJスタイルは、ブレイクコアや、クラブ・ミュージックの中でもアップテンポなものだったと伺いましたが、一方で最近のプロダクションは、比較的リラックスした雰囲気です。何か理由などあれば教えてください。 僕のプロダクションは、目的よりもプロセスをベースにしているんだ。曲制作においては、とにかく身を任せることに慣れてしまっていて。自宅のスタジオにいると、とにかくリラックしたムードになるから、自分の曲もそういった印象の作品になるのは、驚きではないかもね。とはいっても、自分が影響を受けたものを全てプロダクションの中に入れてから初めて、自分らしい作品を作り始めるんだ。ブレイクコアから影響を受けたEP作品は「Mountains」だよ。"Mountains Pt.2" の早い4×4キックセクションは、ガバ音楽から来ているし。"Way of the Homeboy Pt.2"のドロップは、Hellfish and Producerから来ている。 あなたの作品からは、サンプリングをベースにしたアプローチが伺えるのですが、サンプリングにおいて、特に使いやすいジャンルや、年代はあるんですか? ジャズがメイン・ソースになっているね。1966年から77年くらいの、ヨーロピアンなものを多く使用している。10年くらいジャズ・レコードをコレクティングしているから、自分のコレクションに誇りを持っているよ。クラシック・ミュージックと映画のサウンド・トラックは、僕のアンビエントやダブサウンドの音作りにはかかせないものだね。サンプルだけに頼るのは、難しいから、シンセサイザーを少し使ったりはする。自分の頭にあるアイディアをサンプルだけで見つけるのは難しいんだ。アコースティックなサウンドに魅了されていて、テクノを聴く前は、ヒップホップ、トリップホップや、ジャングルに夢中だったんだ。 今回のミックスには、ご自身の作品は収録されてますか? 1つ、2つ、ミックスには必ず自分の作品を入れているよ。ひとつじれったいのは、ヴァイナル・オンリーなミックスだと、自分の新しい作品を入れづらいこと。ヴィナル・オンリーなセットにパソコンに入っているものを入れて、“ライブ感”を出せるようなセットを組み立て中なんだ。夏までには仕上がると思うよ。 今後の予定は? 新作LPの準備をしているよ。とてもワクワクしている。完成目前なんだけど、まだやらないといけない事が沢山あるだ。12インチと、そのリミックス12インチももうすぐリリースされる。その中の一曲を今回のミックスにも収録した。
  • Tracklist
      Chris Watson - The Blue Men Of The Minch. Moray Murcof - Una Pangaea - Memories Frozen Border - 3.1 Sleeparchive - Papercup DjRUM - Mountains pt.1 (live) DjRUM - Mountains pt.1 (Pedestrian's Pirate Radio Remix) DjRUM - Mountains pt.2 Beatless (ft. Quasimoto and Mablib) - Dominant Herbie Hancock - Goodbye To Childhood Andy Bey - Celestial Blues Untold - Kingdom Chris Watson - River Mara At Dawn. Maasai Mara Djrum (ft. Shad[]wb[]x) - Lies Perc - Tension Chris Watson - The Blue Men Of The Minch. Moray Djrum - The Darkest Hour Is Just Before Dawn (Undercoat pt. 2) Djrum - Honey (squashed) Richard Skelton - Noon Hill Wood Marcel Dettmann - Shatter Proof Daughter - Landfill Andy Stott - Handle With Care Chris Watson - Oceanus Pacificus - 10m Indigo - Snowfall Chris Watson - Oceanus Pacificus - 3m Vashti Bunyan - Here Before Elephant and Castle - I Will Alix Perez (ft. Sabre) - Hemlines Chris Watson - The Blue Men Of The Minch. Moray The Drop - Looking To The Sky (DjRUM remix)
RA