- Labyrinthに歩を進める
- Labyrinthは、"自己と他者、自然と音とが一体になり、ダンスを通じて統合する"ことを目的に掲げたフェスティバルだ。それは崇高に聞こえるかもしれないが、Labyrinthのファンにとって、日本の山奥の中で、吊り下げられた巨大なスピーカーから放たれる青々としたアンビエントミュージックとディープ / サイケデリック・テクノのコンビネーションは、超越に近い何かをもたらす。SOはこのフェスティバルで17年にわたりレジデントDJを務めているが、オーガナイザーの一人でもあり、Labyrinthのストーリーに欠かせない存在だ。また、とりわけここ数年、彼のセットは同フェスティバルの中で話題の的になっている。
彼はLabyrinthと同義であるが、本人曰く、2016年のNachtdigitalは、DJとしての大きなターニングポイントになった他のフェスティバルだったと言う。「入念に準備をして当日を迎え、朝方の湖畔で納得のいくセットができた時に、それが自信につながり、自分のオリジナリティが何なのか、何が海外で通用するのか、みたいなことを改めて認識することができました」と、彼は言葉にした。RA.697は、そうしたSOのスタイルが十分に示されている。アンビエントとテクノから成る、完璧にペース配分された、見事なまでに美しいミックスだ。
近況報告をお願いします。
夏に欧州のツアーがあり、NachtdigitalやWaking Life、プラハの郊外でもプレイしてきました。どの現場も素晴らしく本当に印象深いものになりました。今はちょうどラビリンスの直前ということもあり、どちらかと言うと音楽よりも運営の準備に割く時間が多くなってますね。毎年秋の開催なので、だいたい夏から初秋まではそんな日々が続きます。
ミックスの制作環境を教えて下さい。
自宅のスタジオで収録しました。CDJ-2000 nexus 2台と、Alpha Recording Systemのロータリーミキサー、Model 6700。
ミックスのコンセプトについて教えて下さい。
スタジオミックスは、オーディエンスを前にした現場と違って、自分と向き合って創る作品のようなものだと捉えてます。完璧を期するとキリがないですが、今自分が表現できることや、したいことを77分という時間の中に詰め込みました。
コンセプトは比較的漠然としてますが、やはり野外でのプレイが好きなのでそこを意識してます。前後関係や文脈が非常に大事だと考えてるので、スムーズに入り、時間の経過と共に高揚感を増し、終盤でまた着地に向けて徐々に下降する。自然界におけるダイナミックさや情緒みたいなものを、大きな弧を描くように表現していました。テクノ一辺倒にならないように注力し、結果としてノンビートのトラックが全体の3割ぐらいです。
長年LabyrinthではレジデントDJとしてだけでなく、オーガナイザーの一人として運営に携わっています。その両方の大役を成し遂げる上で、準備にはどのようにバランスを取り、本番を迎えていますか?
Labyrinthにおける運営の準備、またDJの準備は、どちらも物理的に時間が取られる作業なので、期間的に余裕を持ってスタートするようにしてますが、私生活や仕事含め、バランスを取りながら進めることは正直かなりハードです。
ただ、今年は新しい会場での開催を決定し、Mindgamesとしても非常に大きなチャレンジであることもあり、私自身は運営に専念することにしました。難しい判断ではありましたが、中途半端な準備のままあのステージに立つということだけは避けたかった。この一言に尽きます。来年迎えるThe Labyrinthの20周年に向けて、とにかく今年の開催がいいステップになるように、今はそれだけを考えています。
近年は国外の様々なフェスティバルやパーティーでプレイする機会を得ていますが、"LabyrinthのDJ"という肩書きをプレッシャーに感じることはありますか?
海外におけるLabyrinthの評判が良いので、やはりプレッシャーは大きいです。例えばLabyrinthのことを余り知らない人が私のセットを聞き、それが最初の接点になったとしたらイメージはそこから始まってしまうので。ただ、2016年のNachtdigitalでプレイした際に入念に準備をして当日を迎え、朝方の湖畔で納得のいくセットができた時に、それが自信につながり、自分のオリジナリティが何なのか、何が海外で通用するのか、みたいなことを改めて認識することができました。それからはプレッシャーはいい意味で感じつつ、前向きに捉え、楽しむことができるようになりました。本当にいいきっかけだったと思います。オーガナイザーのSteffenには心から感謝してます。
今後の予定は?
直近では、11月にまた欧州でのプレイがあるので、Labyrinthが終わったらそこに向けて音楽の準備したいと思ってます。また来年以降は自分のスタイルを進化させ、また地方や海外の現場を増やすことで、より多くの人と素晴らしい時間を共有できたらと願ってます。
TracklistGrand River - The Question Is
Purl - Morgonljuset glittrar i frosten
Donato Dozzy - K6
Glos - Cut Tongues (Blind Observatory Remix)
Distant Echoes - Wait For Me
Ø [Phase] - Search Party
Brothers Black - Cold Shoulder
PARABEL - Sektor 214
Zadig - Solar Analog
Takaaki Itoh - Beige Shift
Refracted - Erre
Ness - Galactic Logos
Alan Backdrop - Midrov
Jon Hester - Impermanence
Ovandra - Retrofuture
Hoavi - Cloud9
Ploy - =O