新型コロナウイルスの影響でアジア各地のフェスやパーティーが開催中止へ

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    Tue, Feb 25, 2020, 10:10
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    Resident Advisor
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  • アジアへの渡航不安から、ツアーをキャンセルするインターナショナルアクトも。
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  • アジア各地のナイトクラブやフェスティバル、コンサート主催者が、世界的に懸念が高まっている新型コロナウイルスの感染拡大によって、イベントの開催中止あるいは延期を発表している。 先日、世界保健機関(WHO)がCOVID-19と命名した新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザのように確定患者との接触によって感染する場合が多いことから、アジア各地の関係当局大型イベントの中止や延期を要請。その影響はもちろんライヴ業界やナイトライフ業界にも及んでおり、財政面と物流面で大打撃を受けている。COVID-19の感染者数を国別で見ると、中国に次いで韓国、イタリア、日本の順で多くなっているが、これとは別に横浜港に停泊していた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客乗員で、24日までに日本人を含む計692人の感染が確認されている。 日本の厚生労働省は本日2月25日に発表した新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の中で、イベント主催者に向けて「開催の必要性を改めて検討するよう要請」しながらも、「現時点で全国一律の自粛要請を行うものではない」としていた。だが、毎日新聞が報じている通り、26日の新型コロナウイルス感染症対策本部では一転して「多数の人が集まる全国的なスポーツ、文化イベントなどについては大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は中止、延期、または規模縮小などの対応を要請する」と表明した。ただし、今回のような感染症の場合はいわゆる興行中止保険が適用されない為、中止となった場合は大きな経済的損失が生まれることとなる。 新型コロナウイルスが発生した武漢市のある中国では、2月24日時点での感染者数が約7万7000人、死者は2600人を超えており、複数のヴェニューが当局の指示によって営業を停止している。成都のアンダーグラウンドクラブTAGは1月に、一時休業と毎年恒例の7日間に及ぶSpring Festivalの開催中止を発表。Facebookに投稿したステートメントで、TAGの運営チームは「状況が安定するまで無期限休業予定」と綴った。 杭州の実験エレクトロニックコミュニティにおける重要ヴェニューであるLoopyでは、Mama SnakeやRussel E.L. Butler、DEBONAIRといったアーティストが2月と3月の出演予定をキャンセルしており、こちらも現在休業中。経済的損失は免れないが、同店のマネージャーYifei ShuはResident Advisorの問い合わせに対して、当局の決定を支持し、3月末までには営業再開を目指していると回答した。 感染拡大の影響は近隣諸国のダンスミュージックコミュニティにも及んでいる。シンガポールやマレーシア、香港、そして日本でも、複数のインターナショナルアクトがアジアへの渡航不安からギグをキャンセルもしくは延期していると、各地のプロモーターが明かした。
    3月28日に開催予定だったSónar Hong Kongは開催延期を発表したが、新しい開催日程は未定となっており、チケット購入者には全額返金を保証している。数ヶ月に及ぶ反政府デモによって混乱が続いていた香港では、24日時点で81人が感染、うち2人が死亡している。同じく3月に開催を予定していたArt Basel Hong Kongもまた、開催中止が発表された。 Gilles Petersonは2月14日から16日にかけてシンガポールとクアラルンプール、香港でのプレイを予定していたが、 シンガポール拠点のイベントエージェンシーCollective Mindsによると、ツアーは延期されたとのこと。同じくCollective Mindsがオーガナイズしていた、Stormzyの上海、クアラルンプール、シンガポールでのパフォーマンスは、3月から2020年11月に開催日程が変更となった。ここ日本でも、今週末に東京で福岡で開催予定だったRegisの6年ぶりの来日ツアーの延期が発表されたほか、先週末はTalib Kweliが来日をキャンセル。Amelie LensとBlack Coffeeは東京を含むアジアツアーの全日程をキャンセルしている。 安全が最優先事項ではあるものの、多くのプロモーターは、誤った情報によってさらに恐怖が拡大していると指摘。ウイルスの詳しい感染源については現在も尚調査中だが、市場で食用として販売されていた野生動物が原因との見方が強まっている。 「トラディショナルメディアとソーシャルメディアではパニックや集団ヒステリーが広がっています」と、Collective Mindsの共同創設者であるZaran Vachhaは、アジアの音楽業界のプロフェッショナルネットワークGig Life Proに明かした。彼は「大陸全体はどこも同じだと思われています。アジアと中国が単一体と見なされている」と続け、アメリカでは年間数千万人がインフルエンザに罹患しているにもかかわらず、毎年多くの観光客が同国を訪れていると指摘。また、「トイレットペーパーやそのほかの日用品の買い占めなど、皆が自分のことしか考えなくなった時に、カルチャーは人々の精神状態を戻すユニークなパワーを発揮します」とも語った。 COVID-19の最新の感染拡大状況は、ジョンズ・ホプキンズ大学が公開した世界マップをチェック。
RA