Kraftwerkが無許可のサンプリングを巡った20年間に及ぶ法廷闘争に勝訴

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    Thu, Aug 1, 2019, 04:21
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  • 欧州司法裁判所による判決は、音楽業界における著作権問題の将来に影響を及ぼす可能性も。
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  • Kraftwerkが、20年間に及ぶ著作権バトルに勝訴した。 紛争の発端となったのは、Kraftwerkによる1977年のオリジナルトラック"Metall Auf Metall"に使用された2秒間のクリップ。同曲のプロデューサーであるMoses PelhamとMartin Haasが、Sabrina Setlurの1997年発表の楽曲"Nur Mir"で当該のクリップをサンプリングし、ループしたとされていた。1999年以来、Kraftwerk創設メンバーのRalf HütterとFlorian Schneider-Eslebenは、法廷で損害賠償と楽曲の差し止めを求めて争ってきた。 そして今週月曜日、欧州司法裁判所がKraftwerkに勝訴の判決を下したことによって、この長年のバトルが終結したとBillboard伝えた。今回の判決は、"Nur Mir"のパーカッショントラックは明らかにKraftwerkの音源だと認識できるという前回の判決を支持するもの。更に判決文では、既存の音源から録った識別可能なサンプルは、どんなに短くてもオリジナル音源のプロデューサーの承認が必要であると述べられた。 だが例外として、"芸術の自由"のルールに則り、「聴いて認識できないほど変形させた」サンプルの使用は、オリジナル音源のリプロダクションには該当しないという判決も下されている。 裁判所の決定は、著作権保持者たちのヨーロッパ圏内での録音に有利な、大きな影響を生むものだ。だが、何をサンプルと見なすかについての明確化が今後必要となり、それが将来的に著作権侵害訴訟や、場合によってはクリエイティブ業界の風潮にも影響していく。 ロンドンの法律事務所Harbottle & Lewisのシニアアソシエイト、Raffaella De Santis氏はBillboardに対し、この新たな先例は「芸術的表現への萎縮効果となる可能性もあります。特にヒップ・ホップのようなサンプルを多用するジャンルにおいては、創作プロセスそのものや、楽曲制作、リリース時に違いがあると我々は認識できるはずです」とコメントしている。 Kraftwerkの"Metall auf Metall"とSabrina Setlurによる"Nur Mir"はそれぞれ以下で視聴可能。
RA